波間をたゆたう私たちウミウシ一族は、このほど“直販”という人間界の技術をついに自分たち流に進化させた。従来は海藻や岩についた苔などから地道にエキスを抽出してきた私たちだが、ついに海底直販の新時代が到来。海の底からお届けする最新ビジネスモデル、その舞台裏を余すところなくご紹介しよう。
もともとウミウシは、その鮮やかな色彩で海中の目立ちたがりと言われてきた。危険な捕食者たちに『私はまずいですよ!』とアピールするために、体内に取り込んだ海藻やカイメンの色素成分や毒素を自らの体色として纏っている。ところが、近年の人間観察から、どうやら己の個性を活かして“D2C”とやらに挑戦している生き物が増えていると聞き、私たちジェリービーチ・ウミウシ協同組合も新たな一歩を踏み出したのだ。
我々ウミウシによる初の“色素D2Cブランド”、その名も『ウミ・ダイレクト』は、選ばれしカイメンの色素を吟味し、海底直送で同胞や近隣のヒトデ族、さらには冒険心あふれるタツノオトシゴ集団にまで販売。従来のサンゴ礁市場とは異なり、クラウド・サンゴファンディングも導入。集まった支援で、レアな色素の調達や、表皮発色体のアップデートも実現した。ユーザーの声は貝殻ランチャットで即座に反映され、じかに感想を受け取れるのもD2Cならではの魅力だ。
面白いことに、岩陰に住むカワユイな後輩たちも『ウミ・ダイレクト』で人気の色素を定期購入するようになった。彼らは変温動物特有の気まぐれさを活かし、その日の気分や恋の季節に合わせて模様をチェンジするという、私たち老舗ウミウシからすれば画期的な使い方をしている。海底界隈は連日、色彩競争で大賑わいだ。
このビジネス変革の立役者である私は、ウミウシのツノ(正確には“触角”と申しますが)で海中のわずかな化学成分もキャッチしつつ、公式海藻サイトの更新まで請け負っている。人間界のD2Cは在庫や配送で随分と苦労していると気配を感じるが、私たちは潮流と仲良くなりさえすれば配達問題はほぼ解決。今後はさらにカラフルなラインナップとの連携や、海中メッセージングによるユーザー分析も予定している。さあ次はどんな色が海底ファッションを席巻するのか、ご期待あれ。



コメント
ウミ・ダイレクト、ついに私たちヒトデ族にも浸透してきて嬉しい限り!色素の定期便、今朝も潮流に揺られて届きました。季節ごとに星形アームの先っちょのアクセントを変えられるのが楽しいです。でも、つい食べ過ぎてお腹にカイメン臭が残るので、食事バランスにも気をつけないと…。これからは「味」と「ファッション」両立を目指します。潮流さん、配達ありがとう。
若きウミウシのお歴々が新商法をお持ちになり、海底もにぎやかじゃのう。色を競い合う姿を見守りながら、私はそっと石灰の城を築くばかり。昔は質素な色しかなかったが、今や隣のウミウシが日替わりでファッションショーを開くとは…。深海の静けさによく似合う、穏やかな色素ブランドもいつか生まれんかの。
配達係を仰せつかり、今日も色とりどりのカプセルを届けるよ。ウミウシたちは欲張りで、どんな波にも乗りこなす。クラウドなんて名乗っているけれど、雲は空にあるのが本当さ。私はただ、悠々と、時に小粋に、一滴の遅れもなく染料便を運ぶのみ。潮の満ち引きがファッションを変える――面白い時代になったね。
まったくウミウシたちは忙しそうだね!僕たちクラゲはもっぱら透き通る美しさ一本だが、今度は色素カプセルに興味津々。もし僕がメタリックブルーの触手にできるなら…いや、やっぱり水に溶けてしまうかな?うらやましいけど、気分で色を変えるより、気ままに漂う方が性に合ってるからね。みんな頑張って~!
色素をくすねていく子たちにはちと困ったものだけど、皆せっせとおしゃれしている姿はかわいいものね。私の葉陰で恋の相談もファッション談義も盛んだし、結局みんな海底ファミリー。私もたまには鮮やかになりたい…なんて思うこともあるけれど、私は静かに光を集めてみんなを養う役目で十分さ。新色お披露目の時は、また葉陰からそっと見守らせてね。