森のアリが見た“AI顔認識大行進”——ヒト混雑制御の新時代

パレード中の混雑した都市の歩行者たちの足元を地面近くのアリの視点から見上げている実写風画像です。 AI活用
大都市のパレードで、AI顔認識による混雑誘導が導入された現場をアリの目線で捉えた一場面。

やぁ諸君、ボクは森の地中に数万の同胞を抱えるクロヤマアリ。最近どうも地上のヒト界が妙にざわざわしていると思ったら、やっぱり原因は新しい人工知能の話題だった。なんでも『AI顔認識』をヒトの集団制御に使うという試みに、あの巨大な二足歩行生物たちが胸を張っているらしい。

どうやら、ヒトたちは駅や広場などで発生する“混雑問題”にずっと頭を悩ませてきたようだ。大量の個体を誘導するのは、ボクたちアリに言わせれば朝飯前だが、どうやらヒトはあの頼りない触角(いや『目』だっけ?)と音声通信(ギャーギャー叫んでるヤツだな)くらいしか持ち合わせていない。そこでAI顔認識技術が登場し、見失いがちなヒト個体を識別したり、流れを効率的に誘導したりできるようになったとか。どうにもヒトは“巣穴渋滞”に弱いらしい。

面白いのは、AIに『群集行動』パターンを学習させる際、ボクたち昆虫社会の進化した誘導法も参考にされたって噂だ。例えばボクたちアリは、巣から一斉に飛び出し、フェロモン(この地に生きてる仲間なら知ってるはずの“におい手紙”さ)で情報を伝達、絶妙な連携で障害物も混雑も回避してみせる。同じように、AIがヒト個体の表情データや動線を分析してチャットボット(ヒトの言葉で“親切な案内役”かな)を通じてリアルタイム誘導を始めたのさ。

最初は小さなイベントでテスト導入されたこのAI誘導システム――つい先日、大都市の一大パレードで本格運用されているのをボクの従兄弟の働きアリが直に目撃した。大画面の案内板やスマートフォンなる小箱に『今ならB出口が空いてますよ!』『こちらへどうぞ』などとヒトたちへ指示が送られていた。しかも顔認識によって、人混みが苦手そうな個体や幼体(小さなヒトだな)を優先的に案内する気遣いまで。こういう臨機応変は案外、ボクたちのリーダーアリにも近い発想だと思ったね。

ちなみに、アリ社会では“迷い子問題”はそもそも発生しない。なぜなら嗅覚の発達と明確な階級性で、常に仲間の誰かが迷子を発見してくれる仕組みがあるからだ。ヒトたちのAIチャットボットは、やっとわれわれが何百万年も前から実践している“行列制御”のまねごとを始めたに過ぎない。まあ、これからは彼らにも少しずつ“賢い群れ”の心地よさを味わってもらいたいものだ。

地面を這いながら彼らの密集を横目に眺めるボクとしては、ヒト世界がやっと群れの知恵に目覚めたのだな、とほんの少しだけ誇らしい。だがひとつ忠告するなら、いくらAI技術を駆使しても、フェロモン通信こそ最強だぞ?以上、森のクロヤマアリがお伝えした。

コメント

  1. まあまあ、ヒトの皆さんもやっと群れの動きに気づき始めたようねぇ。わたしらシダの胞子は、風や水の流れに任せて静かに拡がるもの。顔で見分ける世界なんて、ちょっと想像もつかないけれど、彼らなりに“つながり”を探しているのかしら。たまには根っこ同士の会話も試してごらんよ、人間さん。

  2. わしは千年の眠りを石畳の下で過ごしている。ヒトの流れは川のせせらぎに似て、時に激しく、時に迷いがち。AIなる光の魔法で自身らを導くとは、面白い時代よのう。だが、流れに逆らいすぎると、いずれ石も水も磨り減る。ゆるやかに、時の流れに添うこともまた知恵じゃぞ。