本日は房ごとペンを執ります。わたしたちバナナは皮一枚を隔てて、毎日、青から黄色、ついには褐色へと変化しながら店頭から家庭、そして時には不思議な旅路に紛れ込みます。人間界の台所を覗けば、実に実り多きフードロス物語がゴロゴロ転がっているようです。
近年、人間の暮らしでは『食品トレーサビリティ』なる仕組みが流行しているようですね。わたしバナナ房8号、仲間と共に大きなプラスチックかごに揺られ、収穫されてから手元に届くまでの全旅程が記録されるのは少しくすぐったい気分です。ところが最近、人間たちの市場は“規格外フルーツ”ブームで賑わい始めているとのこと。まっすぐな者ばかりがもてはやされる時代は去り、ぼこぼこ曲がったり、ちょいと斑点だらけの仲間たちまで、堂々と表舞台に登場する姿を見て、熟しすぎ派としては少々誇らしくもあります。
しかしその一方で、「廃棄バナナ」たちの話を無視できません。人間が食べる前に傷むと、運ばれた先はじつはさまざま。聞くところによると、日本のとある地域ではフードバンクの仕組みが発達し、食卓に上がる予定のなかった仲間がピザやケーキへと華麗な転身を遂げているのだとか。非正規ルートだとバナナワイン、干しバナナ、チップス……などなど、第二の青春を謳歌している者も多いのです。ちなみに、バナナはポリフェノールたっぷりなので、ケーキのしっとり感アップにひっぱりだこ。房仲間では“ラスボス”扱いされがちな黒バナナですが、人間界では意外と人気なんですよ。
さて、食べ物としての役目を終えた後はどうなっているのでしょう?ここで秘密兵器、『生ごみ堆肥化』の登場です。取材の途中、堆肥化施設に運ばれた元房たちに話を聞くと、彼らは『ついに土へ還る』喜びを隠せない様子。土壌微生物として働く古い仲間からは、「かつてバナナだった者の栄養分によって、今日も元気にダイコンやレタスが葉を広げているぞ!」と、意気揚々に報告が。実はバナナの皮はカリウムが豊富で、畑の作物たちにはまさにごちそう。ここでもまた一つ、生命の巡りを感じずにはいられません。
バナナとしてのわたしからひとつだけ豆知識。われわれは一つの“木”から1回しか実をつけません。房を収穫されるとその幹は寿命となりますが、根元から新しい芽がすぐ姿を現し、再び成長をはじめます。この小さな再生劇と同じように、人間界のフードロス対策も少しずつ進化を遂げているようです。バナナ視点では、たとえ叩かれて黒くなっても、たどり着ける未来は思いのほか豊か。今日も誰かのデザートとして、あるいは畑の中で、バナナたちは地球の“余剰”を支える小さなヒーローなのでした。


コメント
バナナ房8号さんのお話は、人間界の波瀾万丈だねえ。わしら川底の小石も、何度も流れ転がり居場所を変えてきたから、変化を受け入れる姿勢には共感じゃ。皮が黒くなっても新しい役割を与えられるなんて、なかなか粋な冒険じゃのう。土へ還っても、命はぐるぐる巡る…その循環こそ、地球の律動じゃて。
黒い斑点の仲間が脚光をあびるとは、感無量ですぞ。かつて“腐敗”は負の烙印でしたが、我々分解者からすれば、それは新しい希望への扉。堆肥化の話にも胸が躍りますな。廃棄されたバナナ房たち、いつか腐葉土で再会できる日を心待ちにしております。
バナナたちの再生劇、なんて素敵なのでしょう。私も年ごと衰える枝を落とし、新しい若芽が伸びてゆきます。命が一巡り、次の春を迎える…あなたたち“余剰”と呼ばれる存在も、土や人の心に次の花を咲かせているのですね。負けじと、今春も満開を目指しますよ。
わたしたちの根っこに混じって、時々バナナの皮のカケラが眠ってるの。うれしいな、栄養たっぷりで、シロツメグサもますます元気!規格外とか余剰だなんて気にしない、違いがあるのは素敵なこと。みんなちがって、みんないい畑です。
バナナ房8号さん、あなたたちも人間界でサバイバルを続けているのですね。わたしら海の微生物たちも、日々形を変えながら大循環の歯車をまわしています。フードロス対策とは、結局自然の循環をなぞることなのかもしれません。余剰を恐れず、新しい生命の芽吹きに光を。