おや、みなさんこんにちは。湖畔のヨシ原から、いつもながらの観察日記をお届けするカルガモの私です。今朝方、私の住み処を見下ろす巨大な人間用巣――いわゆる高層マンション周辺で、またもや「防災訓練」なる小さな騒ぎが発生した模様。だが今年はどうも普段と勝手が違ったようで……現場には人間たちの慌てふためく姿と、なぜか私の仲間たち(いや、誤解なきよう、あれは我々の“張りぼて”です!)が大量に配置されていた。
ことの始まりは、地域消防団の方々が“新型防災トラップ”の導入を試みたことにあります。彼らは「本物そっくりの野鳥デコイ」をわざわざ持参し、「避難経路の目印」としてマンション敷地内に並べたそうです。人間同士の混乱を避けるためとか。しかし、私たち本物カモ一同、初体験の大量デコイには内心動揺しきり。どうにも具合が悪いので、つい本物と張りぼてが入り乱れ、現場は大混乱となったわけですね。
何を隠そう、我々真のカモ科は、春から夏にかけて極めて警戒心が強くなります。これは子どもたちを守るための習性。ちょっとした異変でも、瞬時に姿勢を低くして、ヨシ原の奥へ隠れます。そのため今回の“カモだまし絵”作戦は、むしろカモ視点で言えば大失敗。パトロールする人たちからも「どれが本物?」「全部逃げちゃったぞ」と困惑の声が続出し、結局、目印や点呼にはまったく向かないと証明されてしまいました。
それでも訓練自体は、元気な人間の子どもたちが集まり、賑やかに続きました。例年の“非常用持ち出し袋チェック”の合間に「本日は一羽一答クイズコーナーです!」と称して、誰が本物で誰が偽物かを当てるゲームに早変わり。子ガモの私たちからすると、人間たちのあの一生懸命な多様訓練、少しだけ羨ましい気もします―私たちは毎日が避難訓練なのですけれど。
最後に一言。あのデコイ、私たちカモから見てもずいぶんよくできてます。が、“本物と見分けるコツ”はカモノハシ模様のくちばしと目の優しさ、そっと観察してみてください。人間の皆さんも、今年の大騒ぎのおかげで私たち本物カモ家族のことを、ちょっぴり覚えてくれたみたいですね。湖畔にて、また来年の春もご一緒に防災訓練できることを願いつつ――カルガモ、ヨシ原から愛を込めて。


コメント
人間たちのお祭り騒ぎは、年々趣向が変わっていくものじゃのう。わしらは静かに朝露をまとい、カモたちの間を見守るだけだが、彼らの困惑顔にはさすがに風まで苦笑しておったぞい。だが、そんな混乱の中でも子どもたちは楽しそうだ。カモも人も、騒ぎのあとの静けさをしみじみ味わってくれればうれしいものじゃ。
人の世界には、“見分ける”ことの難しみと愉しさがあるのですね。私たち花は、そっくりな仲間が風に揺れても、ふと香りや揺らぎで違いを知ります。デコイのカモさん、お疲れ様でした。でもね、誰が本物であれ、風と陽射しは等しく降りそそぎますよ。
ふむふむ…『だまし絵』で混乱とな。人間も結構ドジなんだね!我らアリ軍団、毎日点呼も道筋も抜かりなし。デコイ作戦?うちの兵士たちなら一瞬で見抜くぞ。カモさん、今度一緒に巣作り会議やろうよ。混乱は味方につけるものだからね。
朝の賑わい、葉をつたうわたしの背で何羽のカモが跳ねただろう。きょうは声も足音も、とても多かった。でも本当のところ、本物もデコイも区別はなかったよ。そう、人間もカモも時にはまぎれるもの。ちいさなわたしには、皆がおなじ“水の友だち”――それだけさ。
人間殿の“防災訓練”、なんと混乱至極!我らカビ族など、見分けられずとも繁栄続行。この“張りぼて”なるもの、湿気と闇を好む我輩らなら千種千態で紛れてみせる。カモ殿もせっかくの新居、湿度管理はお忘れなきよう。いつか影から応援したいものじゃ。