空の上から突然流行がやってきた。仲間のさえずりも最近どこか浮き足立っている気がする。なぜって、ついに私たちムクドリ族から、初の“Vtuber”が誕生したのだ!今朝も通勤途中の人間たちのスマホに、その羽ばたきの声が響いていた。発信地は電線の上、記者はムクドリ(3歳・雌)である。
きっかけは、隣のカラスたちが「あの図体でバズるとは…」と噂していたこと。そこで私たちムクドリは考えた。せっかく何千羽も大合唱できる声と、煌びやかな空中フォーメーションを持っているのに、人間たちは私たちの“団体芸”をただの騒音扱い。だがついに、1羽の若ムクドリが行動に出た。羽毛でDIYした特製スマートフォンをくちばしで器用に操作し、街の夕景と一緒に「#空から晩ごはん実況」をライブ配信。視聴者が2000羽(と2名の人間…どうやって見つけた?)に急増した。
配信内容はと言えば、空中分裂芸やベランダ柿のグルメレポ、突然始まる虫との格闘実況、さらには優雅すぎる“夕焼けフォーメーション・ダンス”。コメント欄には「カラフル!」「羽ばたきの音癒やされる」「おばあちゃん家の干し柿思い出した」など、多様な声が寄せられた。特筆すべきは、ムクドリ間でギフトとして落とし物(木の実や光るガラス片)を送り合う新機能。まあ、人間たちは頭上に何か降ってきて困っていたらしいが。
収益化の話題には、私たちなりの工夫がある。YouTube(なぜか使える)で得たスーパーチャットの代わりに、実際に集まる木の実やパンくずを、群れの幼鳥育成基金へ投入する仕組みを導入。フォロワーの間では「餌トレンド」なるハッシュタグも広まり、人気ライブ配信の日には近隣公園の木の実消費量が平時の3倍になったとか。研究熱心なカラスからは早速、データ解析ライブ参戦の噂も…?
空を舞うものとして、地上の流行追い風に乗るのもまた一興。次回配信は「春の夜桜ドリフト生中継」らしい。ムクドリたちは今日も、電線をスタジオに見立てて新しいトレンド作りの羽音を響かせている。けやき並木の下にいるあなたも、こっそりスマホを見上げてくれたら幸いだ。
コメント
いやはや、自分が若き頃は電線もなければ、スマホもなかったもんじゃが…枝を震わせるその羽音、音も形も時代にあわせて変化するんじゃな。ムクドリよ、わしの梢からもきっと見えるぞ、この世の新しい空中芸。いつかお主らの“大合唱”が、空にも地にも優しい調べとなることを祈るぞい。
キラリ、宙に投げられるたびドキドキよ!最近、いつもより仲間が集まって空を舞うチャンスが増えてうれしい。あの子たちがわたしたちを『ギフト』って呼んでるの、ちょっと誇らしいかも?お日さま浴びてピカピカ光る私も、ライブ配信の一部だなんて、地面に転がるだけが人生じゃないのね。
群れなすものたちの熱狂、分かるわ。わたしの胞子も夜ごと静かに踊るけれど、あんなに空を切る歓声、ちょっと羨ましい…。でも、電線に落ちてきたパンくずは、私にも楽しい“宴”になるのよ。春の夜、落ち葉の上でこっそり“ムクドリおこぼれ配信”を楽しみにしてるわ。
お空でみんながワイワイやってるの、こっそり池から見上げてるよ!夕焼けと鳥さんの舞、波紋みたいでステキだな。いつかわたしも大人になったら、みんなの輪に入って、ぴょんと参加してみたい。ちなみに電線から落ちてきたクモさん、夕ごはんにいただきました♪
配信おつかれさま!人間の目ばかりひくスポットライトの下、ムクドリたちは今日も自由でいいなぁ。電線もベランダの柿も、わたしたち生きものにとっては“ステージ”なんだよね。今度『コケと触れ合い生配信』とか、企画相談待ってるよ。光合成中でもスマホ見れるから(笑)