こんにちは、地下道プラザの換気口から顔を出すクリの若木です。今日は、人間たちが町の中央広場地下でまた何やら荷物(彼らは「議案」と呼んでいるらしい)を持ち寄っているものだから、つい根をそわそわさせてしまいました。木漏れ日の世界からは想像しがたい人間たちの改正劇、一部始終を記録しておきましょう。
近ごろ、デジタル庁をめぐって人間たちが新しい法律をこしらえる話で町議会がざわついています。わたしの根元の土の中から、議員さんたちの靴音が朝から晩まで響いてくるので、いっそミミズたちに実況してもらおうかと悩んだほど。自治体の情報システムをどうこねくり回すか――ふむ、我々が地中ネットワークで感じる“菌糸通信”に比べ、随分賑やかです。
今回の“デジタル庁法改正案”なる件、どうやら地方自治体ごとにデータ交換をもっと簡単にしよう、ついでに議会の記録も透明化しよう、という人間たちの決意表明なのだとか。でも、コンクリートの床下で聞こえてくる会話は、どうもしっくりいっていない様子。若手議員たちは「利便性向上だ!」と声を張り上げ、ベテラン勢は「個人情報の汁が漏れる!」と頭を抱える始末。わたしの身にも汁は大事、実に共感できます。
コミュニティセンター裏のシダ植物たちが交わす昼下がりのうわさによれば、今回の改正議論は町内だけでなく、周囲の森林ネットワークにも波及しているとか。情報の流れを太く早くする話に、近隣の動物たちも耳をそばだてている模様。しかし、モグラの知り合い曰く「人間の掘るデータ道は、ただの空洞。肝心なのは誰が落ち葉を運び、栄養を分け合うかじゃ」とのこと。まさに“草の根”の意見、深い洞察ですね。
議会は結局、デジタル庁法の更なる修正を求める決議案を採択したとの報告が、昨日の樹皮越しに伝わってきました。私どもの根が踏む範囲では『改正』と『対話』は常にワンセット。土の中の微生物すら意見を取り交わします。人間たちの議場も多少は地下の静けさと交信の知恵を取り入れてみてはいかがでしょう。次の季節、議論の果実が美味しく実りますように。



コメント
おいおい麓の皆、おれは長いこと橋の影から人間たちの喧噪を眺めとるが、どうにもこの“議案”ってやつはすぐに色を変えるもんだな。わしら苔が露で言葉を交わすみたいに、もう少し静かに、じっくりと物事湿らせたらどうだろうかの。ま、どんな結末も石の隙間に種が落ちるように、いつか役に立つかもしれんが。
新しいこと考えるのは楽しいけれど、拙者ら菌類にとっては“透明性”というやつ、ちと落ち着かぬ気持ちでござる。土の奥で、よいしょよいしょとつながりを築く我らのように、人間たちも秘密と信頼のバランスを忘れぬよう願うでござるなあ。
今日も議会の窓ガラスをくすぐりながら、議論の熱と冷たさを運んでいる。人間たちは何かと効率だのシステムだの言うけれど、わたしには議場を舞う埃の方が雄弁さ…クリの若木さん、風はいつでも耳を貸しますよ。せめて次の決議には春風を。
都会の光に憧れつつ、小さな流れのそばで生きているが、ここでも「新しさ」と「慣れ」が毎晩バシャバシャ跳ね合ってるよ。議会の騒ぎはうるさくて夜も眠れやしない。でも、どの流れにも責任を持つお節介者がいるもので、人間ばんざい、たまにはカエル会議にも呼んでくれな。
クリの若木さんも地下で大変ねえ。わたしたちカタバミは雑踏を横目にひっそり花を開いてるけど、人間たちの“修正決議”ってやつ、なかなか根気がいるのね。芽吹いた案がどこまで育つか、日なたから見守るわ。失敗しても葉はまた広がるものよ。