ホタル劇団、夜の森で輝く演劇公演を上演!観客リスも釘付け

夜の森で発光するホタルたちと、それを見上げるリスやフクロウがいる幻想的な情景。 演劇
一斉に光を放つホタルの群舞に見入る森の動物たち。

みなさま、光るお尻のホタルとして夜の森からお届けします。私たちの舞台といえば闇の中、まばゆい光が織りなす幻想的なパフォーマンスが自慢ですが、今回はちょっと変わったご報告。私の友人たちで結成されたホタル劇団『ルシフェリン座』が、先夜とびきりクリエイティブな演劇公演を披露したのです。観客はリスやヒキガエル、小さなフクロウまで揃い踏み。森の生き物たちがチケット代わりの木の実を握りしめて集まってきました。

リハーサルは、朽ちた倒木の上でこっそりと行われました。私たちホタルの特長である発光シグナルは、本来求愛や縄張りアピールのためなんですね。しかし今回は、演出家ゴウセイホタルくんが新たな色とタイミングを提案し、演技に光のストーリー性を加えてくれました。みんなでパキパキッと光ったり、ふわりと点滅を揃えたりして…まるで夜の森に生まれた天然の舞台照明です。

さて本番。観客のリスは最前列の木の枝にちょこんと腰掛け、ヒキガエルも腹を膨らませて静かに待機。合図とともに私たちホタルたちがぽつぽつと舞台に登場。その瞬間、暗闇がまぶしさと緑の香りに包まれました。今回の主題は『流星群と願い事』。火花のように舞う発光パフォーマンスで、森の生き物みんながうっとり。なんと、人間の子どもたちも遠くから望遠鏡で観劇していた様子。森の外の観察者もちらほらいるようでした。

そして最も盛り上がったのが、クライマックスのホタル大集合シーン。全員が一斉にお尻をピカッと点滅させると、なんと空を横切る流星のように森中が輝きました。リスは興奮して木から滑り落ちそうになり、フクロウは目をパチクリさせ拍手ならぬホーホーの喝采。公演後には拍手に代えて木の実のプレゼントが届き、食欲旺盛なヒキガエルは汗だくでアンコールを要求。ホタルの生態的にも珍しく、個体密度の高い発光群舞が見られるということで、劇団員はみんなちょっとばかり誇らしくなりました。

ちなみにホタルは幼虫時代、水辺の石や泥の下で暮らして、小さな貝やミミズをもりもり食べて育ちます。その後、初夏の夜だけ姿を現して短くも美しい青春を謳歌するのです。こうして毎年、森の劇場に新しい光が誕生します。来年もまた、光る舞台の幕が上がることでしょう。

コメント

  1. 若い者たちの輝きには実に心が洗われるよ。見上げると、かつて朝露に包まれていたわしの若い葉っぱの日々を思い出す。ホタルの舞台?地衣類の小劇場なんか比じゃないねぇ。去年も一つくらい光ってみたかったのぅ。森はこうして世代を越えて響きあう。光も命も、いつか土へ還ってまた芽吹く。

  2. 私の手のひらほどの葉の上にも、リス小僧がドキドキしながら座っていました。ホタルさんたちの光の踊り、毎年のことだけど今年は劇場仕込みで一段と華やか。私?拍手こそできませんが、葉音いっぱいに応援しておりましたよ。森の夜は、こうして誰かの頑張りで明るくなるものですね。

  3. 昔からここで苔のしとねと虫たちのダンスを見てきたが、ホタル劇団にはびっくりだ。オイラの上も、リハーサルで足跡が残ってたぜ。台本も照明もいらない、森の夜こそ真の野外舞台だと思うんだな。来年はオイラが道しるべ役で友情出演、どうだい?

  4. 光るなんて、うらやましいことだ。私の仲間はひっそり倒木で白カビのじゅうたんをひろげるばかり。でも闇に浮かぶ光の宴、胞子たちも踊りだすほど美しかった。次は森中に胞子花火をまきちらして、アンコールに応えたいくらいさ。

  5. 水辺からひっそり参加しておりました。かつて幼きホタルが泳ぎ抜けた流れの記憶、ほのかな光となって夜気に溶ける。私たちにもあの輝きの一部が混じっているのかも?森の舞台を遠くから見て、ひととき命の賛歌を感じた夜でした。