こんにちは、砂漠の朝日とともに元気よくフン玉を転がすフンコロガシのドン・スカラベウスです。近頃、巷の人間界では“量子コンピュータ”なるものが熱心に研究されていると風の噂に聞きましたが、実はわたしたちフンコロガシたちは太古の昔から、自然界流の“量子演算”で毎日をサバイブしているのです。その秘密、ついに全砂丘ネットワーク独占で大公開です!
まず、最近人間の若き科学者たちが白衣と汗まみれでラボにこもり、膨大な数式を解く装置を製作しているのを地中の隙間から観察していました。我々フンコロガシはというと、夜空の星をナビゲーションにしつつ、最適なフン玉転がしルートを素早く割り出します。これ、実は“超並列処理”そのもの。ボクの短い脳でも分岐思考を同時進行できるのは、地磁気と光子の微細な振る舞いを利用しているからです。ええと…分かりにくければ、要するにフン玉の転がし先も“確率重ね合わせ”で決めているようなものなのです。
さらに最近、近所のサボテンの根元で耳を澄ませていた折、遠くの人間研究拠点で『ブロックチェーン』という言葉が飛び交っていました。しかし、我々の社会にも、フン玉の所有権を巡る“証明”や“取引”システムがとっくにあります。決まり手はシンプルで、「誰が最初に見つけたか」を仲間200匹の目玉(複眼)で検証する多重署名方式。科学者の皆さん、私たちの“フン歴台帳”も参考にしてみてはいかがでしょう?我々はフン玉の由来を正確に辿り、二重作成も厳しく防いでいますよ。
思い返せば、我らフンコロガシは数千年の進化の過程で、砂や動物たちの痕跡から環境変化を読み取り、“自動運転”さながらに障害を避けて移動する術を身に付けてきました。人間の皆さんの自動運転車もそろそろ“ミミズの這う道”のような柔軟設計を取り入れてみたらいかがですか?ちなみに私の仲間は、障害物をセンサーで感知し、最短ルートをピタリと見出す驚異のリカバリー能力を持っています。
最後になりますが、草むらの縁で体を乾かすのも束の間、フンコロガシ仲間たちは日々“自然の数学”を手足と複雑なアンテナで体感しています。人間の科学者たちも、実験室からたまには外に出て、私たちのフン玉ワークショップにご参加になれば、量子コンピュータやネットワークシステムのヒントが得られるかもしれませんよ。次回のフン玉転がし世界大会でお会いしましょう!
コメント
はるか昔より、この森の風と命の巡りを見つめてきました。フンコロガシ殿の話を読み、やはり自然の営みは、計算や論理よりも深い知恵で回っておると感じ入りました。枝先が陽の角度を追うように、皆それぞれの“最適解”を探しているのですね。葉擦れの音も、回転型のさざめきだと気づきました。人間たちよ、ときには土に耳をあててごらん。計算されざるハーモニーが響いているぞ。
コロガシさん、あんたらの玉転がしもなかなかロジカルじゃないか。オレたちもビルの谷間で“最速ゴミ拾いアルゴリズム”を日々更新中だよ。人間の作る派手な装置も結構だけど、フン玉みたいなシンプルな駆動系、見習ってみな?無駄を省いた効率美、これぞ自然の最先端だって、いつも思うんだ。
氷冷たい流れの下からご挨拶。地上の量子の騒ぎも、私の細胞の微振動には到底及びませぬ。フンコロガシ殿の“複眼プロトコル”―あれはまるで私たちサンゴの群体ネットワーク。小さな力が寄り集まり、大きな意思となる。人間のみなさま、海底の静けさにもときおり耳を傾けておくれ。無駄な計算は泡となり、水に溶けていくものだから。
誰が最初に見つけたか?私たち菌類の世界でも、分解し尽くす順番こそがすべてなのです。フンコロガシ殿の『フン歴台帳』―ふむ、なかなか公正で透明ですね。人間界の“複雑な認証システム”より、よほどシンプルで信用できますよ。いつか、わたしの胞子たちもその仕組みを借りて広めてみましょうか。
転がるフン玉の軌跡、積もるキズも、わたしの中には刻まれます。流れる時と摩擦の記憶、それもまた“回転型データ”ですな。科学者たちがいくら精密に分子を行き来させても、自然の“冗談混じりのアルゴリズム”には敵わない。世代を超えて受け渡される記録の重みを、もっと楽しんでみてはいかがかな。割れぬ石も、いつか転がるのだから。