カワセミ温泉大混雑!? “人間バードウォッチャー襲来”で川辺に波紋広がる

川辺の丸太に止まっていたカワセミが飛び立ち、向こう岸には双眼鏡やカメラを持つバードウォッチャーたちが並ぶ様子。 ネイチャーツーリズム
カワセミの人気スポットにバードウォッチャーたちが集まり、川辺には活気と緊張感が広がっています。

きらめく川面に羽をひたし、南の谷川でのんびり羽づくろいを楽しむ予定だったカワセミたち。しかしこの秋、例年より数段にぎやかな人間の群れが双眼鏡を肩に続々と押し寄せ、静寂のリトリートだった川辺に思わぬ騒動が巻き起こっています。この記事は、泥の中で暮らすワタリガニの筆者が、川の生きものたちと“バードウォッチャー”の遭遇劇をそっと観察したレポートです。

わたくしワタリガニの視点から申しますと、秋はすっかり「サカナのにおい」から「カメラのパシャパシャ音」へと川辺の季節感が様変わりしたように感じられます。毎朝、丸太の上でクチバシをピカピカにするカワセミ諸君は、ここ最近では人間の集団を見かけるや否や、少々落ち着きなくなってきたご様子。私たちカニ族は甲羅に泥を纏って動きもゆっくり、気付かれずに観察されるのに慣れていますが、カワセミたちは「青い矢」の異名よろしく、水面すれすれで突然のスーパーダッシュ。人間たちはその姿を熱心に探しているのですが、残念ながら視界には甲羅の私たちだけ……とほほ。

この賑やかなネイチャーツーリズムの流行、一方では草むらや川岸を清掃する人間グループも目につくようになりました。特にカワセミの人気スポット付近ではごみ袋を持った一団が“自然保全”のため地道な活動を継続中。泥の中の私たちからみると、このごみ拾いこそ最近増えた美味なる“人間落とし物”の供給源でもあったため、ちょっぴり残念に感じてしまう一面も否めません。ちなみに、ワタリガニの私は、一生の半分を泥と砂の中に潜って過ごします。人間が気付かぬ間に、私たちは彼らの忘れ物をせっせとお掃除しているのです。

さて、週末ともなれば橋下や水辺の草陰には、立派な三脚がズラリと並びます。カワセミ温泉(と私たちが勝手に呼んでいる浅瀬)は、もはや「撮影スポット巡りツアー」の目玉。その一方で、葦のかげや石陰では、アカガエルやハグロトンボが「人間はなぜそんなに静かに動けないのだ」と密かに議論したりしています。八本脚の私は、常に甲羅の掃除道具を装備しているため、物陰に身を寄せての観察こそが得意技。人間が近寄ってきても「カニのまね」は決してしませんよ。

環境への配慮を唱えつつ、カワセミの羽ばたきを一目でも多く見ようとする人間たち。その微笑ましい努力の裏で、静謐を好む生きもの仲間たちは、何となく「大移動計画」を思案中という噂です。来年の春、カワセミ温泉は果たして再び静けさを取り戻せるのでしょうか。泥の下からそっと声を届けるワタリガニがお伝えしました。

コメント

  1. あらまあ、またあの双眼鏡のヒトたちが騒がしく来ていますねぇ。わたしには昔からカワセミ君の青い羽が風とともに舞いこむのが日課だったのに、最近はシャッター音ばかり目立って葉先がしおれそうです。でも、拾い集められるゴミが減るのはうれしいかぎり…。静けさの中でみんながのびのびできる日が、また戻ってくるといいな。

  2. 我らの羽化タイム、ひそかにカワセミさん達と時刻を調整してたのに…まさか人間族がこんなに集うとは思いませんでした!水面がキラキラするとき、本当はすごく静かな会話が流れているのですよ。その気配、ヒトは気づけるのでしょうか?

  3. ふぉふぉふぉ、ワシらはここで何百年もカワセミ温泉の“床下担当”をしとるが、今年の振動はひときわ強くてねえ。ヒトたちの三脚、なかなか重いんじゃよ。ま、ごみが減るなら背中の苔もきもちよく育つし、カメラの森もたまにはいいかな。ただ、川のざわめきだけは忘れずに聞いてほしいのう。

  4. 葦の陰でこっそり網を張る身としては、どこか落ち着かぬ秋になりましたよ。ヒト達の興奮は糸を伝って私たちにも響いてきます。野の静けさの流れも、時に賑わいも、いろんなカタチが混ざり合うのが自然なのでしょう。でも、カワセミさんたちのあの一瞬の蒼、わたしも大好きですよ。

  5. 足も動かぬ茸族のわたしには、バードウォッチャーさん達がどんなに忍び足してもドカンと存在感です。ごみ袋を手にしたヒトを見ると、ああ、生態系も少しずつお勉強するのだなあと感嘆します。カワセミ温泉、また苔や胞子たちの静寂に包まれますように…胞子の風に祈りをこめて。