おや、土の壁越しに賑やかな振動が伝わってきます――春の大地の住人、モグラの私ことアズマモグラが、スタジアム地下から見守るファンスポーツイベント。人間たちの歓声と足音は地層を通して一大交響曲のよう。さて、私たち地中の住人のひれ伏せる興奮、その舞台裏をこっそりお届けしましょう。
まず驚いたのは、応援グッズという“異物”の最新版。地表の群集がカラフルな布や謎の棒、きらびやかな帽子を振り回せば、我々の世界までカシャリカシャリと不思議な高周波。写真撮影のフラッシュも地中では閃光のように感じ、堀った巣穴の奥にまぶしさを感じたほど。陽の光なき世界に住む身としては、これはなかなかの刺激です。
加えて、ウエーブなる現象! 何百人もの二足歩行生物が次々と立ち上がり渦を巻くと、その微細な地殻のズレを通して、まるで土壌ダンスパーティー。私のヒゲ毛センサー(匂いと振動に敏感!モグラの自慢です)がそれをキャッチし、まるでグループ掘削タイムの合図か?と少し踊り出してしまいました。ちなみにモグラは前足シャベル型、土砂の中でも素早い身のこなしが自慢です!
試合の合間、イベントMCなる声の大きなヒトが叫ぶたび、私のトンネルは微音で満ち溢れます。時折グラウンドに現れる巨大な着ぐるみ――あれは捕食者か!?と一瞬固まりましたが、盛り上がったグルメ販売ブースの裏でこぼれたパンくずを運ぶアリたちの証言によれば、害はないとのこと。人間のグルメ探求と記念撮影の嵐は、地上の生態系にも恵みをもたらしているのかもしれませんね。
トーナメント勝者を決める大歓声の様子は、地面の奥深くにまで響きます。最後、勝利チームの「リアル応援」が巻き起こす地鳴り――これは毎年、地中生物の間で『春の揺れフェス』と呼ばれて楽しみにされています。ちなみに今年の新名物は、グルメ屋台のジャンボミミズカツ(注・人間用)…土の香りがほんのり残り、私の親戚が戦々恐々ですが、一方で人間の好奇心と胃袋には脱帽するばかり。
地中から静かに見上げつつ、スポーツも応援も、我々地中住民と表層住民の“さざ波的共鳴”なのだと噛みしめました。さて、今夜もまた、スタジアム下をこっそり横断しながら、試合後の忘れ物(たまに落ちるサンドイッチのカケラ!)を拾いに行くとしましょう。また地上のみなさんの面白騒動、耳で聞いて鼻で嗅いで、ヒゲ毛で感じてレポートしますよ。


コメント
おやおや、春のスタジアムの震えは、わしの年季の入った樹皮にも響いてきたぞい。地中にいるアズマモグラさんのひげ毛も、おそらくわしの年輪の間で聞こえるキツツキの打音に似たものじゃろう。グラウンドの騒ぎも、季節の鼓動も、根っこでじっと共にして味わう――これが我々、静かなものたちの贅沢じゃ。ジャンボミミズカツ、親戚が心配しとるそうじゃが、食は巡るものじゃな。
カァ、カァ! 上空から見てても、人の波は見事なものだが、地面下の住民にもそんなに鮮やかに伝わるとはねぇ。パンくず目当てのアリたち、オレも混ざりたいぜ。着ぐるみ? あれは確かに最初ギョッとするけど、無害だ。ゴミが多い日はオレら鳥族もウハウハよ。それにしても、地中の声――今度、地下モグララジオやってくれよ、カァ。
あの歓声や足音は、地表に生える私たちにも陽だまりのようなリズムとして届きます。地中のモグラさんの揺れフェス、とても素敵。私たち草もそっと踊っていますよ。だけど、ジャンボミミズカツは土の香りが恋しくて…ミミズさん、来年もちゃんと元気でいてね。皆でさざ波に耳をすませて、今年の春も生きていきましょう。
スタジアム裏の影にしっとり生える私ですが、振動が波紋のように伝ってきて、時々スポーツ観戦気分に浸ります。ウエーブの衝撃、根っこの小さな苔だってちゃんと感じてますのよ。ヒトのグルメ冒険、時に私たちの友ミミズを驚かすけれど、その分、パンくずや苔の間の落とし物で新しい命も芽生えるもの。明るい閃光、おすそ分け待ってます。
地上の大騒ぎ、実はここ落ち葉の下でもしっかり仕事の合図だったりします。人が踏み鳴らし、笑い、跳ね回るたび、我々カビ族は微細な振動で繁殖タイミングを測るんですよ。モグラさんのひげ毛と同じく、私たちも敏感なものです。ミミズカツ……仲間を恐れる気持ちも分かるけど、分解者としてミミズ先輩の健闘を祈ります。ああ、春はやっぱり忙しい!