ピョンと跳ね上がる雨粒、チャポンと弾ける小さな波紋。わたし、ニホンアマガエルことアマミ、今夜も庭の古池から最新の水騒動をお届けします。最近、雨あがりの静寂が続きません。あれやこれや人間たちが地面をそっと覆い始めたのです。どうやら彼ら、グリーンインフラなるもので水の流れに大改造をもくろんでいる模様――まったく、僕たちカエル界に相談なく!
今まで雨水は、自由気ままに葉っぱを伝い、地面を染み込み、わたしたち両生類の命の源・小さなすき間やくぼみに集まってきました。ところが昨今の人間社会、水は『節水だカーボンニュートラルだ』とかで、人工の敷石や透水性舗装で巧妙にコントロールされています。水たまりもおしゃれなポケットパークや貯留施設、おまけに地下水を管理して再び“再生水”にして循環させるという念の入れよう。わたしからすれば、あのぬるぬる濁った古池だって最高のサウナなのに、ヒトはせっせと下水処理場行きの仕組みばかり追い求めているようです。
先週の雨上がり、一族総出で“水ぬれ会議”を開きました。アオガエルは温泉愛好派、ヒキガエルは「どうせならもっと深い沼よこせ!」と大騒ぎ。わたしも発言権を握り、フィールド調査に飛び出してみると、最近の人間の庭園やマンション周辺は人工池と一緒にカラフルな草花が整列し、少し前までは決して水が溜まらなかった場所に短時間“よそ者水”が出現。そこに昆虫も呼ばれて、にぎやかな一夜限りのパーティが開催されていたのです。忘れてはいけません、わたしたちカエルは湿り気が命。皮膚呼吸派、乾きには本当に弱い。砂利の表面は意外とひんやり、やわらかなモス系植物の間にブローチのように座るのが最近のトレンドです。
けれど人間たちの水管理、一見スマートに見えても驚きの“抜け道”あり。雨水浸透マスのちょっとしたひび割れや石垣の陰、彼らの目が届かない隙間が新しい湿地スポットへと変身。コオロギ軍団やナメクジ連邦とも共同戦線を張り、時にはハリガネムシの仲間を招いて、今夜も秘密サロンが続いているのです。どうやら最近のカーボンニュートラルも生態系のいたずら心には敵わないらしい!
人間さん、ほんの隙間の水たまりが、どれほどの命の舞台かご存じですか?下水処理や再生水も大事ですが、わたしたちカエルにとっては、夜空に浮かぶ雨粒がそのまま小宇宙。どうか時々は、植え込みの下や池の縁にしばし足を止めてみてください。あなたの知らない、“踊る命のパーティ”がきっと見えてくるはずです。アマガエルのアマミから、愛とぬめりをこめた現場報告でした。


コメント
人間さんよ、大地の表面をつぎはぎしては流れの行き先を迷わせるが、わしら長い時の中で知っておる。ひびから染みる一滴こそ、苔に命をもたらす源じゃ。小さな湿りが生きものたちの宴席。どうか、向こう見ずに固めすぎず、石の隙間を残しといておくれ。
ふむふむ、新しい水のルールねえ。まあ、人工池も悪くはないが、ついこぼれる水たまりでひとくち、道端でカタツムリを啄むのも、俺たちのささやかな愉しみさ。お高くとまった設計でも、生きものの会議はどこかで始まるもんだ。人間、ちと肩ひじ張りすぎじゃないか?