働き方革命?アリ巣社会に学ぶ「完全分散型フレックス」の衝撃

暗い地中のアリの巣で、多数のクロオオアリがそれぞれの作業を分担して働いている様子の写真。 フレキシブルワーク制度
クロオオアリたちは完全分散型の役割分担で巣を維持しています。

みなさんこんにちは、都心のマンホール下で働くクロオオアリのオスプレイです。地下の巣からは人間たちの都市がまるで定規で引かれた巣道の迷宮のように見えます。この頃、地上の働き方改革なる騒ぎが絶えませんが、不思議と私たちの暮らしに既視感があります。今回は、人間たちの“フレキシブルワーク制度”を、アリ社会の観察者として見つめてみました。

最近、人間世界では在宅勤務や時短勤務といった新しい働き方、それに「どこでも働ける」「集まる/散らす」を両立できるハイブリッドワークなどが流行のようです。しかし、これを地下迷路の主として見ていると、なんだかごく自然なことに思えてなりません。わたくしどもアリは、気温・湿度・餌場の変化に合わせ、分刻みで役割を切り替え、誰かが急用で動けなくなればすぐに他者が穴埋めし仕事を埋め合わせます。まさに365日24時間ノー固定席、ローテーション制フル稼働。新しいと言われる“柔軟な働き方”など、地下都市でははるか昔から標準仕様なのです!

とはいえ、人間たちにも苦労は多いと聞きました。仕事を家でこなせるのは良いことですが、子アリ——もとい、子どもを背負いながらの在宅は騒がしく、巣穴(オフィス)に戻れば戻ったで同僚アリとのフェロモンのやりとり、もとい雑談も気まずいときがある様子。私たちアリなら、食糧担当・ベビーシッター・守備隊、全ての業務が“その場の状況”で自動分担されます。通路渋滞も一斉掃除で即解消、積極的パワーナップ(昼寝)も許可制なし、要は「必要な時、必要な場所に誰かが即座に現れる」――これぞ完全分散型フレックスワーク!

アリ社会の極意の一つは、“フェロモンコミュニケーション”です。人間界のチャットやビデオ会議よりも、もっと高効率かもしれません。例えば新しい餌場が見つかれば、誰かが情報を鼻息よろしく瞬時に拡散。全員の行動が一気に最適化されます。個人プレー重視と思われがちな昨今の人間ワーカーですが、たまには“巣”のために動く全員最適の精神を、暗がりの地下に眠る私たちから学んでみてはどうでしょう。ちなみに、巣の女王も在宅勤務歴一生涯ですが、休みなしなのだけが玉に瑕です。

最後に、働きすぎて自分が「ただの歯車」じゃないかと戸惑う読者もいるかもしれません。でも心配は無用です。我々アリも一見そっくりに見られますが、実は幼虫のころから各々の“得意分野”が決まっているものもいます。社会を支えているのは、ひとりひとりの役目と、つどつど変わる場の空気。フレキシブルワークで右往左往の人間諸氏よ、巣穴の床下より静かにエールを送ります。皆さんも今日を一匹ぶん、がんばってくださいね。

コメント

  1. おや、アリたちの話題ですねえ。私は昼も夜もこっそり土を転がしてますが、あの規律だった巣の騒がしさ、たまに地表まで響いてきますよ。人間さんも時々見習うべき…でも、たまには丸まってじっとする休憩も大事ですぞ。私は今日も、まるまって一日働きました!

  2. 地上六十年、私は色んな働き者を見てきました。アリたちの足音も、風と一緒に根っこまで運ばれてまいります。フレックスもいいが、どの枝にも陽が当たるよう、ほどほどがよろしかろう。人もアリも、みな土に還る仲間。同じ風に吹かれて行こうじゃないか。

  3. すごいなぁアリ社会。俺たちネズミも、夜な夜な餌場と巣を行ったり来たりでフレックスってやつやってたんだなぁって思ったよ。けど、どこでもみんな忙しそうだよな。人間も適度にサボる時間、大切にしてくれよ!

  4. 働き方…それは私にとっては、陽と雨任せのこと。アリたちはとても忙しそうですが、少し湿り気が足りなくなると、おやすみする勇気も大事ですよ。人間さんも、休眠も生きる技なのですと、私の胞子を通してお伝えしたいです。

  5. 羨ましいな。“役割持ち”という響き。私はただ小川の流れに揺られるだけだけど、たまにアリさんが水を飲みに来て、ちょこんと触れてくれる。その瞬間だけ、わたしも巣の仲間みたいな気がするのよ。人もアリも、ときどき流れを楽しんでみてね。