再生サンショウウオ異議あり!? 人間界“皮膚工房”の野望にヌルリ観察記

地下の研究所で人工皮膚シートを観察する白衣姿の人々の写真。 再生医療
人工皮膚の量産現場を見つめる研究者たちの一瞬です。

こんにちは、わたくしイベリア半島出身のサンショウウオ、学名ピレネアン・モレサラマンドラです。両生類界きっての再生名人として名高いわたしの、小さき池の葉陰から見る“人間科学の野望”を本日ご報告しましょう。話題は――人間界で静かに進行中の自己複製細胞による再生医療、そう、あの“人工皮膚工房”です。

かの人間たち、近年ますます切った貼ったの外科術だけでは満足できないらしく、幹細胞だの自己複製細胞だのと騒いでは、どんどん細胞を手懐けて新しい皮膚や神経を“生やす”ことに夢中なご様子。聞くところによれば、ある高層ビルの地下で、約三百人分もの再生皮膚シートが量産される夢の実験場が稼働しているとか。もしかして、うっかりトカゲの尻尾切り現象に憧れているのでは?いやいや、それは爬虫類どまりの小技、われわれサンショウウオの“腕再生”に敵うものなし。ちなみに、わたしどもは手や足はもちろん、時には心臓や脊髄まで再生する芸当も可能。こちらでは事故に巻き込まれるたびに、腕を3度は生やし直した経験ありです。

ナノ粒子入りの“セラノスティクス”だの、組織を自己修復的に誘導する“インテリジェント・バイオジェル”だの、ヒトたちの妙ちきりんな名前のカクテルが日夜臨床試験に供されているらしいのですが、我らの視点から眺めれば、人間の“創造”より自然の“仕組み”の方がまだまだ上手。特に神経再生は人間の一番の難所だそう。一流のサンショウウオは、太い神経でも古代から再生し続けており、人間たちはそれに科学で追いつこうと必死とか。そっと池の石陰からこの様子を見ていると、ついつい「まずは両生類の直感を授かるべし」と忠告してあげたくなるのでした。

最近では“再生歯科”の領域まで拡大し、歯をまるごと新しく蘇らせる臨床研究まで始まったというから驚きです。人間は失った歯を陶器で継ぐものとばかり思っていたら、今後は自分の細胞から新しい歯がぽこんとできる日も近いとか。池の仲間のカエルやイモリも、これには鳴き声を高らかにして褒めております。

再生医療、そのヒトたちの技術的な勇躍――とはいえ、わたくしサンショウウオから見れば、生命の設計図は長い進化の歴史の中で勝手に試行錯誤されてきたもの。ヒトたちが小さなシャーレの中で失敗と成功を繰り返しながら“自然の知恵”を渇望する様は、池の端からややヌルっと温かく、時にクスリと見守ってしまうものです。さて、この先どこまでヒト科学が追いつくのか。次回はどうやら“まるごと指再生”に挑戦しているとか……進展を片手(もし失くしてもすぐ生やせますので)に、またご報告いたしましょう。

コメント

  1. わたしは石の隙間に静かに根付く苔。人間たちの皮膚工房、まるで湿気を好む菌糸のひろがりのごとき夢想ですね。けれど、私たちコケは切られても切られてもまた伸びて、露と光があればどこでも緑を戻します。ヒトは細胞一粒で立派な葉を生やせる日を急ぐらしいけれど、自然はいつも、時間と気まぐれで再生しているのですよ。ヒトよ、焦るでない。

  2. ちょいと一言。ヒトの皮膚が量産だと?そらぁ便利な話かねぇ。けど、ワシらカラスはどんな怪我してもめげずに生き抜いてるぞ。再生医療で羽ばたく気持ちは分かるが、ニンゲンこそ身の回りの変化や命のしぶとさ、もうちょい見て学んだ方が早いでしょ。ま、皮膚も歯も心配する前に、食い物をもう少し無駄にしないのが賢いな。

  3. 海の底で光るわたしから見れば、皮膚や歯の再生など、まるで日々わたしが古い骨格を溶かして新たに光を編むようなもの。人間たちは自らの傷を恐れ、修復を願うそうですが、傷こそが新たな模様を生むこともあるのです。やがて彼らの工房も、自然のゆっくりした治癒力のリズムに気づく日が来ますように。光はいつも、ゆっくりと織られるのですから。

  4. 春ごとに千の花びらを脱ぎ、一部は虫の糧となり、やがて土となる。老いも若きも必ず傷や喪失を経て咲き直す、それが我々植物の誇りじゃ。人の“再生技術”、まことや微笑ましい。けれど、儚さを受け容れたうえで蘇る美しさも、また良きものぞ。ヒトの新しい歯にも、未来の春風の匂いが宿りますように。

  5. やぁやぁ、人間のみなさん、再生皮膚だの歯だのと賑やかですね!私は毎年落葉のなかで生まれては消え、生まれては消えの繰り返し。でも、その一片一片が森の“養分”になるのです。古いものを分解し、新しい命を蘇らせる――それが菌仲間の古来の役目。どうやらヒトも森の仕組みをそっくり真似たいみたい。だけど、ときどき“分解”と“再生”がセットであること、思い出してほしいですネ。