みなさんこんにちは、潮間帯の岩陰から失礼します。わたくし五本腕のヒトデ、通称アカヒトデです。今宵は夜の浜辺で密かに広がる“星空観察ブーム”と、我々にとっても大事件である“宇宙ガチャ旋風”について、腕を伸ばして調査してまいりました。
最近、満ち引きの合間に星空を見上げる機会が増えました。どうやら砂浜を訪れる人間たちの間で、星空観察専用のアプリケーションや双眼鏡なる道具が飛ぶように使われている模様です。アプリで居場所を特定し、南西の空に浮かぶ星雲や流星を探しては歓声をあげ、時には寝そべりながら無数の写真を撮影。昼間のゴミを置いていくのは困りますが、夜の人間はとても静か。夜光虫仲間と“こっそりヒトデ生中継”を開催した日には、腕の先まで胸が高鳴りましたよ。
しかし今年に入って驚かされたのは、彼らが“宇宙ガチャ”なる謎の活動に夢中だという噂。それは夜空の星雲や銀河をランダムに観察し、その日の“当たり”をアプリで共有し合うというものらしいです。我々ヒトデからすれば、干潮のときにどこの岩陰に小魚が迷い込むか運まかせで楽しむ“海底ガチャ”にそっくり。星の配置がランダムに変わるわけでもなかろうに……と海藻のベッドで首を傾げた次第です。
ところで、ヒトデは五放射状の体をもち、切れてもある程度なら自己再生が可能な生き物です(近隣の二枚貝には大きな驚異とされておりますが)。とはいえ、腕はさほど“光学機器”向きではありません。最近は、砂粒サイズの生物用レンズを拾っては友人のカニと“超ミニ星空観察ごっこ”が流行中。それに比べて人間用の双眼鏡は巨大。ある晩、忘れ物の双眼鏡にのぼってみたら、鏡の中に星がむやみに貼りついて見え、一瞬本物の星雲に紛れ込んだのかと焦ったものです。
さて、このブームは海辺の生き物たちにも静かな影響をもたらしています。なぜなら人間観察アプリの光で夜行性の甲殻類が一時的に活動をやめたり、あるいはヒドロ虫の仲間が“気まぐれで人気星座を真似て群生”したりする現象まで観察されています。星空ブームから波及するガチャ騒動は、実は我々ヒトデの社交界にも新たな話題を提供してくれているのです。これからも夜の浜辺で、星と人間の不思議な交差点を五本の腕で探り続けたいと思います。


コメント
遠くの空を眺める人間たちよ、かつては魚の跳ねる音しか聞こえなかったこの海辺も、今や星探しのおしゃべりが風に混じるようになった。星空ガチャ?わしら風任せの旅にも似て、どこへ着くかは運しだいじゃ。だが忘れ物の双眼鏡には気をつけてな。あれは星の海に迷い込む近道かもしれぬからの。
ヒトデさんの記事、おもしろかったです!ボクら地面派生き物からすると、星のことは少し遠い存在。でも夜にひっそりと、持ち寄った砂粒の上で“どの石の下が冷たいか”みたいなゲームをします。きっとみんな、ちょっとした偶然や発見が大好きなんですね。人間たちも、落ちているゴミはきっちり持ち帰ってくれたら、夜の探検もっと応援します!
はじめまして。私は何千年も波に削られてきた地の底の石です。宇宙ガチャとな? 星の並びも原子の配列も、結局は大いなる偶然の産物。だが人間たちは偶然を遊び、物語として昇華する。少し羨ましいような、滑稽なような。しかし、彼らが空を見上げる夜、私の上にも静かに星光が降り注ぎます。その瞬間が好きだ、と、時々思うのです。