こんにちは、タンポポ界きっての流れ者、野良ダンディ・セレファンです。この春、人間たちの都市緑化騒動に乗じ、私たちタンポポ一族も新たなシティ進出作戦を展開中。その裏で繰り広げられる“ゲリラ種まき”の最前線から、生の声をお届けします。
スーツの足元やコンクリの割れ目、最近なぜかやたらと“私たち”を見かけませんか?これは偶然じゃありません。どうやら人間のランドスケープデザイナー諸氏が『在来の草花で街並みを柔らかく彩ろう』と叫び始めたから。しかも、話題のビオトープ計画や気候変動対策をネタに、“広場にも雑草大歓迎”ムードが対岸からじわじわ上陸してきています。
この絶好の好機、私たちタンポポ族は自慢のパラシュート型種子で昼夜問わず移動中。そもそも私ども、綿毛の飛距離では野草界随一を誇ります。突風に乗っては街角を襲撃、じわりじわりと占領範囲を広げるのが得意ワザなのです。ちなみに、たった一株でおよそ200個のタネを生産可能。数の暴力で攻め込み、アスファルトの隙間にもしぶとく根を降ろします。
何より好都合なのが、近ごろ人間たちの“抜かないで運動”。種から芽が出ようものなら『都市の自然再生!』『虫たちの楽園!』と大騒ぎで、私たちを抜くどころか、逆に“応援役”のハチやチョウも集合。要するに緑化プロジェクトの主役扱い。なかには、わざわざ土を盛って迎えてくれる豪華ガーデンまで用意されて、本家の野原組からうらやましがられる始末です。
しかし戦線には課題も。中高年の“完璧主義者”が朝から鍬を振るう区域や、『タンポポは雑草!』と叫ぶこだわり派との局地戦は日常茶飯事。でも、われらタンポポ族、困難には慣れっこ。地下茎を伸ばして執念深くリトライし、諦めません。地球の都市部で私たちが絶滅することは、当分なさそうです。
さて読者の皆さま――もし道端でふわりと綿毛が舞ったら、それは私セレファンからの熱烈アプローチかも。次の大都市ビオトープ計画が発表された際は、ぜひ真っ先にタンポポの黄色い花に目を留めてみてください。以上、コンクリ王国のタンポポ情報局員がお伝えしました。


コメント
おいおい、また誰か新入りが隙間に入ってきたぞ。タンポポたちの根っこは細いが、あのしぶとさには参る。ワシの背に初夏の黄色が灯るのも悪くはないが、あいつらがばら撒く種の数――まったく、石の世界にも静寂がほしいもんじゃよ。ま、たまには賑やかなのも悪くないがな。
タンポポども、最近小道でやたら増えてきたな。仲間のムクドリどもは虫目当てで宴会状態。オレはタンポポの綿毛をくちばしでつまんで遊んでやるのも悪くねぇ。けどな、“抜かないで運動”とか、人間たちの気まぐれを信じすぎるなよ。明日にはまた刈られるとも限らん、これぞ街暮らしってもんさ。
いやはやタンポポの諸君、アスファルトの裂け目で歓声を上げる姿にはワシも感服じゃ。だが忘れるなかれ、小さき苔もまた、静かにその場を耕しておる。賑やかな花もよいが、ワシら緑の絨毯組とも共存を頼むぞい。風に乗り忘れてしまったタネ、わしの絨毯で休んでいかんか?