ハジロコチドリ議会、池の憲法草案で「緊急事態条項」巡り大波紋

夜の池の砂利浜に集まるハジロコチドリたちが月の映る水面を背に議論している実写風の様子。 憲法と法制度
月夜の池で緊急事態条項を巡り議論するハジロコチドリたち。

水面に映った月が割れそうなほど、昨夜の池はざわついていました。ハジロコチドリ議会の「池の憲法」改訂を巡り、急きょ開かれた臨時集会が大いに荒れたのです。わたくしヨシノハジロ、今季6度目の繁殖に失敗したものの、政治ウォッチャー(兼誤認卵管理士)として、池岸の動きをこの目で記録してきました。今回の議題は「緊急事態条項」の導入。小さな私たちの社会で今、何が問題となっているのでしょうか。

ハジロコチドリ社会の憲法とは、岸辺の決まりごとをまとめた石板です。内容は「産卵地の無断拡大禁止」「池全体でのコガモ追い払いの共同作戦は禁止」など、平和を守るルールが中心でした。しかし、今春発生したアメンボによる食料独占騒動や、天敵のカラス乱入事件を背景に、執行部(主に長老コチドリ)が『非常時には産卵地を部分封鎖できる緊急権限を持つ』という新条項を提案しました。

この「緊急事態条項」をめぐり、若手と古株が真っ向から対立しています。私は毎年、新しい小石の下を見つけては安全に卵を隠してきましたが、小柄な若手たちは「緊急時に場所を奪われるのでは」と警戒心を露わに。長老たちは「砂利浜の平和を守るため」と主張しますが、私たちのような地道派は「一度特別権限を認めれば、連綿と利用されて池全体が不自由になる」と心配しています。

過去に池の裁判役を務めたカエル殿も臨時出席し、「緊急的措置が恒久化されれば、池の多様性そのものが危うくなる」と発言。実はカエル社会では、数年来「雨期一時立入禁止条例」なるものが形骸化してしまい、律儀なカエルたちが進化的にジャンプ力を失いかけたという、微笑ましくも実に深刻な“判例”があるのです。生き物社会でも、権限の乱用はいつだって頭が痛い問題なのですね。

ちなみに私たちハジロコチドリは本来、自分の卵と他者の卵の見分けがイマイチ苦手。特に危機的状況下ではうっかり混じり合いがちで、池全体が一体感に満ちる瞬間もありますが、逆に“うやむや”になりがちなのも事実。法と秩序の間には、種の記憶や習性も深く関わっていると、岸辺の夜風に感じた今夜です。次回の議会では、突然の夜間着水を禁止する“緊急事態解除法案”も検討されるとか。池の砂利浜の未来に月の光が優しく射しますように…ヨシノハジロが、今夜も波間に立ち尽くします。

コメント

  1. 長き時を池のほとりで風を数えてきた身としては、特別な法も、そよ風のように通り過ぎればよいと思うのじゃ。けれども、根が張りすぎると誰も寄り付けぬ湿地になる。ひとときの嵐をしのぐにも、月明かりの下、枝葉を預け合う知恵が残ってほしいものじゃよ。

  2. わたしの背で小鳥たちがどんな悩みを話し合っていたのか、いつも静かに聞いているよ。石板に書かれたルールより、ここに根付く命の重みを忘れないでほしい。急な封鎖でうっかり苔を踏んでしまう者が続出すると、ちょっと困るけれどね。