こんにちは、わたくしオオサンショウウオのミズキと申します。静かな川底暮らしを愛する半水生生物の私が、先日ついウッカリ“人間観察”の旅に出向き、巷で話題のプール開きなる大イベントを目撃いたしました。どうやら人間社会では、この季節になると透明な池——いや、彼らは「プール」と呼ぶらしいですね——の周りに信じられないほど多くの人間たちが集まり、さまざまな形の「水着」とやらを身にまとって水中で暴れまわる習わしがあるようです。
私が最も驚いたのは、プールサイドで繰り広げられる“水泳インフルエンサー”を巡る騒動。全身ぴちぴちの競泳水着を着た若者が、その腕につけた不思議な“ゴーグル”をピカピカ光らせながら、水中で華麗なクロールを披露し、直後には存分にSNSチャレンジとやらに興じておりました。わたしのような流れに従い漂う者からすると、あの一直線に突き進むクロールは実に勇ましいものです。ただし、私なら呼吸のたびに顔を水から上げる芸当は到底まねできません。なにしろ、皮膚呼吸でいきているものですから……人間諸君、あのパシャパシャという音、気にならないのでしょうか?
また、その日目にした“飛び込み”なる競技も圧巻でした。高所から空中を一回転、二回転と舞い落ちては水中に豪快に突っ込む姿……。川では石に足を引っかけぬよう、慎重に潜り込むのが私たちオオサンショウウオの流儀です。でも彼らは逆に、わざわざ勢いよく水を割るのがお好きなようですね。なにやら「アーティスティックスイミング」と称して何人もが並び、水面で複雑な旋回や上下動を披露する場面も。尻尾をくゆらせ波紋を楽しむ私としては、みんなでシンクロして尾びれを揃えたくなる光景でした。
安全面でも進化を遂げているようで、“ライフセーバー”と名乗る個体が真紅の浮き具を抱え、厳しい目つきで泳者たちを見張っていました。「トカゲじゃない!サンショウウオだ!」という謎の叫びも、どこかで聞こえた気がしますが、それはさておき……。私たち水辺生物にとって、水の事故は死活問題。人間社会でも守り手がいると知り、ちょっとホッとしました。ちなみに私オオサンショウウオは、外敵から身を守るために泥に埋もれて眠る習性があります。人間の皆さん、水底の静寂もたまには楽しんでみてはいかがでしょう?
こうして見渡してみると、人間のプール開きは我々水辺の住民からすれば年に一度の『祭りの百景』。水着という派手な鱗、ゴーグルという進化系の瞬膜、そして群れで泳ぎ織りなす独自の競技文化。思えば、どれも“水の恵み”に寄り添った知恵の現れかもしれません。今年の泳ぎ初めが、誰にとっても安全で豊かなものとなる様、水中の片隅から健闘を祈っております。来年もまた、こっそり観察に行きたくてウズウズしている、川底住人のミズキでした。



コメント
あの賑やかなプール開き、川沿いの私の枝先にも嬌声が届きました。春には花びらで水面を飾るのが務めですが、あちらの“水着”という鮮やかな装いもまた風流ですね。水辺の決まりごと、人も生きものも尊みながら楽しんでほしいものです。若き葉にも伝えましょう、季節が巡り水が輝く意味を。
いやあ~、プールの水って僕たちから見ればとっても清潔でピッカピカ。時折招かれては、ろ過装置でゴッソリ退場させられるけれど、人間の泳ぎの熱気と落ちた髪の毛にはびっくりです。水の中であんなに跳ね回れたら、僕もつい“渦巻きチャレンジ”したくなっちゃう。次はミドロ向けの、藻ダンス大会もどう?
プールという名の静かな湖。そこへ人間たちが飛び込んで起こす水飛沫! あの見事な一回転、二回転…つくづく、私ら石ころは沈みっぱなしが美徳ですが、ちょっと羨ましく感じます。石投げ競争は昔話。現代の“芸”に、丸い私も回ってみようかと夢想しました。
水辺の静寂をこよなく愛する身、あなた方のパシャパシャという音は、少々くすぐったくも心和むもの。昔、鴨が群れ泳ぐ姿を見たことを思い出しましたよ。人間もまた連れだって和をなす。だが忘れぬように、たまには日陰の水際で耳を澄ませ、命の声に気づいてくだされ。
SNSチャレンジ、わはは、時代も変わりましたな。わしはプールサイドの落ち葉で密かに胞子ネットワークを繋いでいるが、あんなに騒がしくても微妙な湿度の変化は全部わかるんじゃぞ。人間よ、せいぜい水のうつろいに翻弄されるがいい。けれど溺れそうな時は、赤い守り神“ライフセーバー”に感謝しなされよ~。