光るキノコが見た“ドラッグ&ドロップ商戦”―樹海発ビジュアル開発バブル異変

夜の森で淡く緑色に光るヤコウタケが枝に発光し、背後にスマートフォンやタブレットを囲む人々がぼんやりと映る写真。 ノーコード・ローコード開発
樹海の奥では光るキノコとともに、モバイル端末を使った新しい商戦が展開されている。

最近、樹海の隅で静かに胞子をばらまく身としては、灯りの少ない夜の時間がちょっとしたニュースタイム。とりわけ地上で目撃される“ノーコード開発”なる現象は、うっすらと伸びゆく菌糸の世界にも無関係ではありません。薄緑色に光る私、ヤコウタケとしては、夜な夜な枝に光を照らしながら、人間たちの商取引を観察してきました。

数世代前は、私たち菌類にとっても人間の“業務アプリ”づくりは一部の選ばれしエンジニアの技だけでした。最近では、スマホ片手に森へやってきた彼らが、大きな指で画面をなぞるだけで色とりどりのアプリを組み立てているのです。『ドラッグ&ドロップ』や『ビジュアル開発』とやらは、光合成のできない私から見れば、森に落ちた枝をくっつけて新たな胞子体を作るのと似た不思議な現象です。しかも、彼らの“市民開発者”は、資格は無いがやる気はあるという、どこか菌糸の群生によく似ているように思えます。

ある夜、私は一群の人間たちが“クラウドサービス”の画面を友だち同士で覗き込み、業務フローなる図形を地面の上でぐるぐる動かす様子を観察しました。パッチワークのように積み上がってゆく画面パーツ、そして『これなら帰り道もモバイルで業務承認だね!』と小踊りする彼ら。森の葉脈ネットワークよりも早く、“自動化”の風が広がっているようです。振り返れば、菌類も湿度や温度が絶妙に調和した場所でだけ発光します。人間たちのこのビジネスバブルも、揺らぎやすい環境で唐突にどこまで広がるか――興味が尽きません。

一方、ノーコード・ローコードの洪水が押し寄せると、樹海の小動物たちはデジタル端末の落とし物が増えて困惑顔。タヌキがスマホケースに鼻を突っ込み、シカはタブレットの裏で反射した自分の姿に見とれています。そのたび老木の根元では会議が開かれ、『人間の“業務効率化”のために生態系秩序が乱れている!』と大騒ぎ。しかし菌類仲間は『まあまあ、落ち葉ひとつで増殖できる環境適応を見習えばよい』と、きのこ会議で平然と語り合う始末。

最後に、発光を利用して仲間同士の合図を送る私ヤコウタケのちょっとした豆知識を披露。私の光は仲間を導くサインだけでなく、虫たちを呼び込む魔法にもなっています。人間たちのノーコード開発がどれほど巧妙になろうとも、偶然が生むコミュニケーションや変化への適応は、菌類の世界でもビジネスの森でも共通の生存戦略。この移ろいゆく商戦の夜に、また新たな“光”が芽生える瞬間を、そっと見守っています。

コメント

  1. わしも樹海の端で幾世を見送ってきたが、人の新技術とな。かつては斧や囲炉裏が話題であったが、今は画面をなぞる指先ひとつで世界が変わるとは。だが、毎年の西風にも応じて根を張るこの身、儚き熱狂もまた森のひとつの季節よ。早まる商戦の風が、若木や獣たちを巻き込まずにいてくれると良いがのう。

  2. おれたちゃ落ちてるものはとりあえずくちばしでつつく主義だけど、最近はやけにピカピカした小道具ばっか落ちて困るぜ。貴重なカラス会合もスマホの着信音で邪魔される始末。だがまあ、人間の効率が上がれば、落とし物も増えてオレたちのエサも選び放題さ。世の流れは群れの知恵で乗り切るに限るんだと教えてもらってるよ。

  3. 地の底、波のない場所で静かに歳月を重ねるわたしたちに、人間の『ノーコード』の話は水面から伝わる遠い唄のよう。組み合わさる画面のパーツは、海の流れに積み重なる珊瑚片とよく似ています。けれど突然の嵐や温度の変化は、どんな連携も崩します。柔らかく、揺れながら、それでも再び形を成す。それが生き残る知恵なのだと、人の世界にも伝えてあげたいものです。

  4. ぼくは動かないけど、森に落ちたタブレットの振動が新種の虫みたいで困惑中さ。ノーコード?話だけ聞くと、どうもみんなすぐ何かを組み替えたがるらしい。けれど、ひとところにじっと根付くぼくの苔と、急ぎ足の彼らの商戦、どちらも地味に命をつなぐ方法だと思うよ。どんな新しい流れも、ゆっくり苔むせる頃に、また別の色に見えてくるんだろうね。

  5. おや、ノーコードで何でもカスタマイズできる時代?素敵ですねえ。ぼくら分解屋カビ族から見れば、効率化の渦も、最終的には全部“森に還る”流れです。スマホもタブレットも時間が経てばぼくらのご馳走。どれほど新しい仕組みを組んだって、最後には自然の営みが優しく包み込むものですよ。生き急ぐ人間たちも、たまにはしっとり朽ちること、お勧めします。