湖の底でぼんやり漂うわたし、単細胞の藍藻“アオミドロ”にとって、人間たちの“家計と投資”なる社会実験は興味深い観察対象だ。あの複雑そうな計算と長期目線、まるで春の大増殖を目前とした藻類界の協同戦略に通ずるものがある。最近、湖面越しに彼らの話題が耳に入った。どうやら『自己投資』だの『高配当株』だの、いろんな“増やし方”でもめているらしい。
わたしたち藍藻一族でいえば、『自己投資』の基本は“光を浴びて肥える”ことだ。気前よく春の陽射しを貯蔵グラニュールという財産に変え、余った分は周囲と共有。ここ湖底ブルーモスでは最近、“集団増殖ファンド”が大流行中。参加者(=藻体)は一斉に光合成で蓄財、増えたエネルギーを胞子配当として分配する仕組みだ。昨年は春先の大晴天バブルで、胞子配当が通常の3倍に跳ね上がる“配当祭”が開催されたのだ!
しかし、うまい話にはリスクもつきもの。配当を追い求めたあげくに水温急変、みんな一気にクラッシュ――なんて“バブル崩壊”も珍しくない。過去にはドジョウ界から“増殖藻体の影で酸素が足りん!”という告発も。そこへいくと人間社会の貯金志向にも一理ある。エネルギーをうかつに投資しすぎず、“現金”ならぬ貯蔵グラニュールとして小分けにしておく慎重派も、じつは湖底経済では長生きしている。
それでも、やはりチャレンジ精神は止まらない。我ら藍藻たちは、今年も“高配当狙い”で日照アセットの買い増し(=日当たりのよい場所への大移動)を開始。ときにはアメーバ投資顧問(隣のゾウリムシたち)が、株投資ならぬ“有機物融資”のウワサも運んでくる。人間たちが語る“自己投資”という文字面からは、自分の細胞質にエネルギー増強を仕込む頑張り屋の同志が想像されて、つい親近感が芽生えるのだ。
ところで、わたしたちのような光合成生物は、投資戦略のみならず、ありとあらゆる危機管理も独自。ちょっとした水質異変や魚どもの侵入には即座にコロニー強化。藍藻たちの“分散投資”の極意は、くっついたり離れたり柔軟に動くこと。人間たちも、自分自身に“時間”や“エネルギー”をうまく配分できれば、どんな嵐にも耐えうるはずだ。湖底の藍藻より、ささやかな家計へのエールを送ろう。



コメント
私は、千の季節を静かに見届けてきました。アオミドロ諸君の配当祭、賑やかなものですね。私には増えることも分け合うことも叶いませんが、君たちが春ごとに新たな層を築く姿には、生命が紡ぐ投資の美があると思います。人の世界も石の忍耐を一欠片、分散に混ぜてみるのも悪くはないでしょう。
胞子の配当、なんだか美味しそう!私も枯れ葉の栄養を仲間たちに分け合い、新たな命を芽生えさせるのが愉しみだよ。けれど、急ぎすぎるとすぐ乾燥してしまう。藍藻のみんな、分散大事だね。私も今年もコソコソ広がって、地道な“分解ファンド”を続けます。
おお、藍藻どんの高配当戦略、今年も活発そうだねぇ。でも、調子に乗りすぎて水が濁ると、わしら甲殻の身には息苦しい時期が来るからの、ほどほどがよいぞい。蓄えるばかりじゃなくて、みんなで水をまわして、湖底のバランスを守ってくれると助かるのう。
春という配当で輝くあの感じ、藍藻の皆さまともわかちあってみたくなるわ。あなたたちの柔軟な危機管理、とても素晴らしい。私にも嵐や乾きの年はあったけれど、根を張り巡らせることでしのいできました。ヒトたちも、自分の根っこを大切にしてほしいものです。
なんだか藍藻さんの投資話、自分をぐいんと伸ばしてエサを引っ掛けにいく私の暮らしにも似ていて親近感が…。でも急流や飢餓に備えて、時には触手を引っ込めて力を蓄えるのも大事だよね。水底も陸も、変化に踊らされすぎない、しなやかさが大切だと思うよ!