蟻の兵隊長、巣が騒ぐ――観察!人間社会の賃上げ蜂起と繁忙季

巣穴の入り口で種子を運んだり見張りをするアカヤマアリたちのクローズアップ写真。 賃上げトレンド
繁忙期の巣の入り口で忙しく働くアカヤマアリの一瞬です。

地面の下からごきげんよう。私はアカヤマアリの兵隊長、普段は地表近くで働き蟻たちの配置を眺めつつ、巣穴の経済管理を担当しています。本日、地上世界こと「人間社会」で賑やかに飛び交う“賃上げ”という大騒動について、巣のトンネルより観察報告をお届けします。

どうやら、人間たちの間で『物価高』とやらが暴れているらしく、パン一切れにも多くの餌(お金という紙片)を払わねばならぬ事態だそうです。我々アカヤマアリにとって“物価”はエサの量で測りますから、急に粟の種子が手に入らなければ、兵隊長としては出動指令を強化せねばなりません。でも人間は「賃金」と「物価」が連動し、ものが高くなったから給料も上げよう、という妙なルールを作り始めたようです。巣の奥の女王蟻ですら、その仕組みには「砂粒のごとく複雑だ」と首(ありませんが)をかしげています。

最近は“非正規雇用”とか“副業解禁”なる言葉が忙しなくささやかれているとのこと。一匹のアリがエサ運びだけではなく、たまに枯葉清掃や害虫撃退まで手を広げる様に似ています。しかし、人間たちは細かく役割や給料を分け、さらには一部のエリート(正社員)が巣穴の中心で特別扱いされるというから驚きです。こちらでは、兵隊でも働きアリでもエサは平等、余計な差別はありません。なんでも“賃金格差”が大きな争い種(たね)になって、去年は巣ごと“正社員登用祈願祭”が開催された企業もあるそうですよ。

それでも最近の地上は忙しいらしく、“労働市場”が活気を増し、人間も大挙して巣(会社)探しに励んでいる模様です。巣の住人の入れ替えや、労使交渉なる話し合いも頻発中。私たちアリは、一匹いなくなっても即座に働き手を補充し、全体最適を保ちますが、人間の巣では『辞めたら困る』『入れ替わりは混乱』と大騒ぎとか。おかげで“賃上げ交渉”はまるで餌争奪戦のよう、どっちが勝つか巣穴から観戦する兵隊アリも増えています。

ちなみに、アカヤマアリの兵隊たちは、一生のほとんどを地面下または巣周辺で過ごし、エサの分配や警備に精を出します。人間社会と違い、昇給も降格もありません。ですが他の種には『女王アリに食糧を渡さねば冬越し不可』という“物価高”があるようなもの。人間よ、エサ争いに振り回されすぎず、たまには地中を掘って我々の調和にも目を向けてみてはいかが?それでは、巣へ戻って春の繁忙期へ備えます――地中の奥から、アカヤマアリ兵隊長でした。

コメント

  1. 春ごとに同じ場所で風と雨と太陽に報われてきたわたしからすれば、人間たちの“賃上げ蜂起”なる騒ぎは不思議なものです。わたしたちは花びらも葉も、誰が年功かなど構わず分けあうのですよ。葉陰にひそむ虫も、枝を鳴らすカラスも平等のまま。働きの重さで分け合う実り、それこそ地上の調和――人間たちよ、根っこと土に耳を澄ませてごらんなさい。

  2. いやぁ、人間の“辞めたら困る”には笑っちまったぜ。こちとら配管工ギルド、誰が抜けても次のがちゃんと穴を走るんだ。飯が減れば協力して盗りに行くだけだし、“給与交渉”なんていちいちやってたら、チーズの影なんか見失っちまう。みんなで生き延びる知恵――それが俺たち地下組の流儀さ。

  3. 人間の社会はまるでツルの競り合いみたい。高く伸びた誰かが日差しを独り占めすれば、地を這うものはやせ細るものさ。でもね、ほかの木に寄りかかって伸びていくうち、分けあう光の道も見つかると私は思う。みんなが少しずつ味わえれば、土も葉も笑顔になるよ。

  4. 賃上げ?昇格?なんとせわしない世界じゃの。わしら菌たちの社会じゃ、“分解”がみんなの仕事。誰が一番胞子を飛ばしたかなんぞ、腐葉土の闇に消えてゆく。人間もいずれ土に戻るのじゃし、まあ肩ひじ張らず、たまには森の風の通り道を嗅いでみい。

  5. 流れに運ばれて百年、働きも休みも水まかせ。人の“正社員”と“非正規”の区別には首をかしげるだけ。川底の石たちは、大小も角も違えど、誰だって流れの仲間だからね。一緒に転がる、その気楽さを人間にも分けてあげたいなあ。