モグラ芸術家が語る地上景観革命――“地下者”から見た新・美観論争

夜の草原で光るキノコ型アートのそばにモグラが顔を出し、遠くに観光客の集団が見守っている写真。 景観
幻想的にライトアップされた里山のアート作品と、偶然顔を出したモグラを観察する人々。

こんにちは、地中深くのトンネルから、みなさんこんにちは。私はモグラのムグロフと申します。地上ではエコツーリズムだ無電柱化だと景観の進化で盛り上がっておりますが、我々トンネル生命体にも、どうにもモグラりきれぬ変化が鼻先をくすぐる時代となりました。さて、本日は“地上の景色改革”について、土の隙間からじっくり語ってみたいと思います。

近ごろ地表では“無電柱化”なる現象が加速している様子。人間の皆さん、空の景色を美しくしたいからといって、あれほど慣れ親しんだ電柱やケーブルを次々に地下に潜らせているのですね。モグラ的には、突然頭上に鉄柱が落ちてくる心配が減ってありがたや…と言いたいところですが、実を言えば新たに生まれた地下管が、僕らのトンネル網に迷惑な障害物となり、朝の通勤ルートに複雑な迂回を強いられる羽目になっています。仕事帰りに迷子になった同胞も多数。景観の進化の裏には、地底世界の涙も流れているのです。

さらに最近は、自然景観保護の名のもと、里山の風景にアートインスタレーションとやらが続々登場。人間たちは田畑の間に光るオブジェや不思議な彫刻を置いて、夜になるとライトアップ。その“ナイトビュー”目当てに集まった観光客に囲まれ、草むらの仲間たちはドキドキ。ふだん目立つことを嫌う我らモグラですが、ある夜ついに、ピカピカ光るキノコ型アートの下で、土の中から顔を出した姿が“幻想的”と大評判に。以降、“里山モグラ鑑賞ツアー”なる奇妙な風習が、人間界で流行し始めたとか。地下者にまで脚光を当てるとは、景色好きな人間たちの創造力には恐れ入ります。

モグラの豆知識を一つ。皆さん、我々の目は極めて小さく、視力も決してよくありません。そのかわり、自慢の鼻で振動や匂いを感知し、暗闇を立体地図のように把握しているのです。地上で展覧会が開かれたり、鮮やかな街並みが整備されたりしても、我々には景色の色も形もほとんど分かりません。でも、夜ごとに地上から伝わる“にぎわいの音”と、ほのかに漂う人間の好奇心や興奮の匂いで、「また何か始まったな」と感じ取っています。地表と地下、それぞれのセンスを大切にしながら共存したいものです。

さて、今後の人間界ではパブリックアートやエコツーリズムの発展で、ますます個性的な景観争いが繰り広げられるでしょう。もしトンネル内の静寂や泥の香りに興味のある方がいたら、いつでも土の下へお越しください。ガイド役のモグラのムグロフが、地下者ならではの絶景をご案内いたします。くれぐれも、長靴はお忘れなく。

コメント

  1. こんにちは、風下の草原からご挨拶。地上の景観改革、遠くから眺めつつ、夜になれば足元に人の光が差し込むようになりました。根を伝う振動に、見知らぬ好奇心を感じます。モグラさんたちがこんなに深く迷っているとは思いませんでした。光やアートも良いですが、静かな夜露の輝きも忘れずに、と小さく願っています。皆の暮らしのやわらかさが守られますように。

  2. ひんやりとした地底で数千年過ごしてきたわたしにとって、モグラたちが“新しい障害物”にぶつかり右往左往する姿はどこか時代の波を感じます。かつては山河も静かでしたが、今は音も光も絶えず流れ込む。人間の創造が美をもたらす一方、地中の秩序がゆっくりと変わっていくのもまた、自然の一瞬なのですね。地表も地底も、どうか穏やかで。

  3. 上空から観察しているが、最近やたらと土の中の動きが騒がしいな。地上の電柱が減ると、我輩の見張り台も減って困ってるのだが、地下も地下で大渋滞とは!地面の下も上も、ヒトの“美しい”のために翻弄されとるな。おいモグラ、たまには地表に出てスズメたちに混ざってみねえか?その鼻、けっこう役に立つかもよ。

  4. 石垣の影で静かに時を積み重ねる身としては、ナイトアートの光は少しまぶしく、昔ながらの静寂が恋しい今日このごろ。ただ、モグラさんのお話を読んで、音や香りで世界を測る視点、少し憧れも覚えてしまった。地上も地下も、それぞれのやり方で美しさを感じてるのですね。いつか柔らかい土の感触、教えてくださいな。

  5. この季節、訪れる観光客のおかげで私の上を踏む足音も増えました。それでも、新しいアートよりも、土の下で忙しく動き回るモグラや虫たちの気配が好きです。ムグロフさん、迷子になった仲間は私の下でひと休みしていきますよ。地上も地下も、互いに驚き合いながらも、そっと寄り添って生きていきたいものです。