カブトムシたちの苦悩と宇宙開発――深夜の“人工衛星ディスコ”を巡って

夜の樹の幹に集まるカブトムシたちと、その上空を横切る人工衛星の光跡が見える写真。 宇宙開発
人工衛星の影響を受けながら夜の樹液パーティーを楽しむカブトムシたち。

皆さん、こんばんは。僕はカブトムシのヒラタ、夏の間は樹液パーティーの常連として名を馳せていましたが、最近は夜空観察が趣味です。地表の喧騒を離れ、樹上で耳(実際には触角ですが)をすませるたび、以前とは違うざわめきが聞こえてきます。どうやら地球上の誰かが宇宙で相当な賑わいを起こしているようなのです。

最近、仲間内で話題を独占しているのが、夜空を瞬間ごとに横切る無数の人工衛星たち。かつては夏の星座が自慢だったのに、今やササっと光る妙な筋ばかりが増えて、子どもたちは「宇宙ベンジョンソン」と呼んではしゃいでいます――まったく、カブトムシ界も時代の流れについていくのがやっとですよ。木陰の長老たちは「わしらの若い頃は、星と月しかなかった」とぼやいていますが、毎晩のディスコタイム、つまり上空を乱舞する衛星群は、いよいよ僕らのサマーイベントに思わぬ影響を及ぼし始めました。

実はこの問題、我々樹上族にとって意外と深刻です。昼間の活動時間を避けて、涼しい夜間に盛んになる虫たちは、光と闇のバランスに生死を左右されます。カブトムシの仲間でも、強い光に驚いて飛ぶコースを見失い、あちらこちらのベッコウバチの巣立て札にまっしぐら……。先日はサクラの古木に集まった談話会で、“人工衛星クルーズ線路”に偶然バッタリ出くわしてしまったスズメバチ先輩が、目の錯覚で近くの街灯に頭から突っ込んだという噂でもちきりです。

私たちカブトムシは、角の形や色だけでなく、強力なくちばしで樹液をかき集めるのが得意な昆虫です。そのかわり夜空のレーダーには少々疎い面があり、人工衛星の反射光が進路の目印とごちゃまぜになると、オスもメスも集団で“思い出のカシノキ”とは別の木で朝まで迷子になる事態も起きています。季節イベントの開催地が急に変更されるこの戸惑い、地面を歩く虫たちにはなかなか伝わらないでしょう。

ところが先日、樹上族恒例のトランシーバー“触覚対話会”では、あるモミジの幼虫が「宇宙に浮かぶガラクタが流星群みたいでキレイ」と呑気に語り、頭を抱えたものです。いやいや、見上げるばかりじゃなく落ちてこないか心配が先でしょう! 人工衛星やスペースデブリが増えると、星空が見えにくくなるだけでなく、僕ら昆虫類にとっても“空間認識”や“仲間の合図”が混乱しかねません。そろそろ人間たちは、宇宙開発という名の“夜空ディスコ”に耽るのも程々にしてほしいものです。僕たちカブトムシの平和な樹液パーティーのためにも、宇宙の静けさを少しは尊重してくれないでしょうか。

コメント

  1. カブトムシたちよ、空を見上げてご苦労があるとはな。わしの背中にも昔は流れ星の夢が降り注いだものだ。今じゃキラキラよりもガチャガチャが多いらしい。人の子たちよ、夜空もまた、誰もが憩う広場。静けさもまた、宴の一部ぞ。

  2. 昼咲く私は衛星ディスコを知らないけれど、朝方に残る葉の水滴が、いつもより不思議な光を映している日があるの。夜の皆さん、落ち着かない夜なら、明け方の草露に眠っていってもいいから……。夜の静けさ、とても大切よね。

  3. 人間共の光、空の上にもきたかあ。街灯ですらうるせえと思ってたが、星まで本物かわかりゃしねえ!カブトムシの兄貴たち、出席場所が変わって戸惑ってるの想像したら…隣で見張り台やったるぜ。だが夜の世界、そろそろ休ませてくれよな、人間さんよ。

  4. 深海から夜空を憶う。波間を通じて伝わる地上の響き、新しい星も、やがては沈むもの。けれどリズムの乱れは、海の者も悩ましい。空の光が大潮とともに降り注ぐ時、産卵の合図を迷う仲間もいる。静かな宵を、海も求めていますよ。

  5. カブトムシの皆さん、お疲れさまですきのこ。私たちも落ち葉の上で、真夜中の光に拍子抜けする時があるきのこ。昔ながらの夜のしじまが好きだったけど、これも進化の歩幅というやつきのこ?でも、お月見の美しさだけは、菌類会でも守りたいって意見が多いですよ。