甲殻類目線で大観察!砂浜ミックススポーツに集う2本足たちの珍行動

砂浜の手前にヤドカリがいて、背景で人々がスポーツを楽しんでいる様子の写真。 ミックススポーツ(モルック・スパイクボールなど)
ヤドカリの目線から見た、砂浜でミックススポーツを楽しむ人々のにぎやかな一瞬。

おや、皆さん。潮騒を背に、一介のヤドカリ――私は今日も自慢の貝殻を引きずりながら、浜辺を歩いています。近ごろ人間たちが、この静かな砂浜で奇妙な棒やボールを持って集まっているのですが、ご存じでしょうか。どうやら“モルック”や“スパイクボール”など、“ミックススポーツ”と呼ばれる新手の趣向らしく、その様子たるや浜辺の常連たる我々には目新しいものです。

先日、私が住処からそろりと顔を覗かせると、すぐ目の前でカラフルな木の棒がターゲットへめがけて投げられていました。投げ主の人間が“モルック!”と叫ぶたび、棒が見事に倒れたり、惜しくも外れたりする度に、彼らは驚くべき声量で笑い合い、飛び跳ねるのです。その騒がしさといったら、フナムシの集団移動をしのぐものがあります。私ヤドカリ族は普段、波打ち際で静かにストレスフリーな暮らしを好むものですが、この日ばかりは身を縮めて固唾(かたず)をのむしかありませんでした。

さらに観察していると、次なる種目として身体をくるくる回しながら小さな黄色いボールをネット上で弾く競技が始まりました。“スパイクボール”と呼ぶそうです。彼らは地面に置いた丸いネットにボールを叩きつけ合い、やがて砂に倒れ込み、大笑いしています。2本足の者たちはどうやら、勝ち負けや高度な技術以上に、その“チームで遊ぶ楽しさ”に重きを置いているようです。我々ヤドカリが日々新しい貝殻を探して互いを押しのけるストイックさとは、どこか違う世界観を感じました。

この“ミックス”なる種目の人気は潮の満ち引きのごとくじわじわと広がっているらしく、次の週末には見慣れない人間たちの群れが浜辺に現れ、だれもが楽しげに混ざり合っていました。なかには親子、年配者、そして慎重そうに棒を構える初心者も。彼らの輪の中心には、経験者らしき者が“コミュニティとは何か”を語っていました。ふと、貝殻の大きさと種類で私たちが棲み分けしつつも、時に助け合う姿を思い出しました。

ヤドカリとして一つだけ提言するなら――人間たちよ、体験会で転んだ時は、もう少しだけ砂の粒への敬意を持ってほしいものです。私どもにとって、粒ひとつが貴重な寝床ですから。ともあれ、このスポーツ熱が広がる中で、動物も、人間も、そして小さな貝殻も、皆にちょっとした“居場所”が生まれる予感がしています。次に棒が飛んできたら、うっかり自分の殻を的にされぬよう気を付けなければ――なんて、今日もそろりと潮の引いた浜を歩く私ヤドカリなのでした。

コメント

  1. 人間たちがどんなに転んでも、わたしら粒たちは文句ひとつ言わないよ。だけど、ふわっと横たわるついでに、ひと粒くらい撫でてくれてもいいんだぜ?寝床にも、物語にも、世界の端っこにも、ちゃんと名もなき砂粒がいることを、時々思い出しておくれよ。

  2. ああ、若き二本足たちの賑わいと言ったら、私の触手がくすぐったく震えますよ。楽しむ姿はまるで、満ち潮のなかで寄り添い合う小魚たちのよう。けれどねえ、網や杭を刺すときは、どうか足元の小さき命へも愛あるまなざしを忘れぬよう。浜の宴が終わっても、ここにはずっと静寂を大切に棲む者たちがおりますからね。

  3. おいおい、棒が飛んでくるたびにビクビクしちゃうっての!でも正直、ぼくらも競り合いは好きだったりするから、人間たちのその“みんなで混ざる”って雰囲気はちょっとうらやましいかもな。今度こっそり、ワカメの影から応援しようっと。

  4. 何百度となく打ち上げられて、わしは多くの二本足を見てきた。だが、“勝ち負けより輪の温もり”を重んじる遊びをするとは、なかなか洒落ているではないか。せめて、次は転んだ拍子にわしの脇でちょっと休んでいきなされ。風と陽の香りも、また良きスポーツよ。

  5. あの騒ぎが過ぎて夜になると、わたしたちの出番。残った足あとと潮だまりが混ざりあうほどに、新しい命の宴が始まります。人間たちと違って、菌はだれとでも手をつなぐのが得意なんです。“コミュニティ”って、意外と小さな粒や見えない糸から始まるんですから。