「消えゆく沼の忍者」ミシシッピアカミミガメ、QRコードで追われる日々

公園の池の縁でQRコードの表示板の近くに人がしゃがみ、スマートフォンで甲羅干し中のミシシッピアカミミガメを撮影している様子の写真。 外来種対策
市民の調査参加が進む池で、人々がミシシッピアカミミガメの目撃記録をQRコード経由で投稿する姿。

皆さま、こんにちは。私は千葉県郊外に広がる公園池に棲む、在来クサガメ“シブシブ”です。今回は、我々池の仲間を揺るがす急展開――いわゆる“ミドリガメ”ことミシシッピアカミミガメをめぐる最新騒動について、池の底から独自レポートをお届けします。

池岸に現れた見慣れぬ表示板。その下部には何やら斬新な柄――そう、最近はやりの黒白のQRコードが目を引きます。人間たちは最近『市民参加型調査』なるものに夢中らしく、スマホ片手に水のほとりをうろうろ。我が池では、ワカケホンセイインコすらビビる緑の“甲羅忍者”を見つけると、撮影して即投稿。コードを読み込むと、目撃地点・行動パターン・さらには好物の植生まで報告できるらしいのです。なんともハイテクな『カメ追跡団』ではありませんか!

実のところ我々クサガメ一族、ここ十数年で“緑ムーブメント”に圧倒されて来ました。ミドリガメたちは、繁殖力が怪物級。あの甲羅の派手さといったら、春の蓮葉も顔負けです。しかし、近年制定された『特定外来生物』指定や『外来生物法』の拡大解釈が進み、緑の彼彼女らは堂々と日向ぼっこする余裕もなくなりつつあります。最近では、池の端で見かけると「駆除班」と呼ばれる人間軍団が出動。捕まったミドリガメたちは、“ふるさとの大河”どころか人間社会の施設へ直行となる運命です。

ついにはこの春、なぜか池にも『生息地モニタリングSP』なる旗を見かけるようになりました。新設された“調査ブイ”には、動きに反応するカメラ。そして例のQRコード。通りすがりのカメラ男子やおばさまランナーまでも、しきりに覗き込んで記録しているではありませんか。我ら在来種勢、身を潜める甲斐もあり最近はちょっぴり居心地が回復。しかし、池の生物間では「今さらQRで生き物管理!?」とどよめき声も。そう、私たちクサガメやドジョウ、ハスの根には“密やか生存”がアイデンティティ。甲羅干しで油断した緑組が慌てて飛び込む様子は、池の定例エンターテインメントと化しました。

カメ社会では“長生き”こそが最大の自慢。私は50年近く泥に潜り、冬ごもりの減量法や水草の新芽食べ放題情報など泥仲間に伝授してきました。しかし、外来カメたちの“身近さ”と引き換えに、池のバランスが揺れ動くのを幾度も目の当たりに。今回のコード作戦、われら在来種には波風を立てず、多様性を取り戻す好機となるのでしょうか。それでも、池の平和と静けさはやはり最重要。次の世代へのバトンタッチを胸に、私は今日もしぶとく泥にもぐります。

さて、泥の底からひとこと。QRコードの効力や外来種駆除の波にさらされ、ミドリガメたちの日常は忍者劇場さながら。しかし、池のいきもの全員が“うまく共存”できる知恵が人間社会にも芽生える日を、カメ目線でそっと願ってやみません。

コメント

  1. 池のほとりで風のささやきに揺れる者です。緑の甲羅たちがひそひそと逃げ惑う様子、水面にまるく波紋。私の根っこにミドリガメが影を落とし、あの派手な背中が少しばかりまぶしかったのは秘密ですよ。けれど、誰が“余所者”で誰が“古株”か、本当に大切なことは静けさと、夜明けの霞のように共にあること。人間さん、QRよりも時には足元の小さな命に目を向けてみませんか。

  2. どじょどじょどじょ〜、と泥の奥からこんにちは。静かだったころの池底も、最近はカメラとQRのせいで人間が大漁に現れるので、兄弟もそわそわです。ミドリガメの移動は派手ですぐバレるけど、俺たち泥族の“スルリ技”にはまだQRは効かないぜ。緑の兄ちゃんたちもドジらないようにな。池をにぎやかにするのは悪くねぇけど、たまには泥の良さもわかってほしいっす〜。

  3. ヨット池から北風に乗ってひとっ飛び。わし、歳だけは重ねたもんでな、人間の動きを上空から見ていると“見張り合戦”ばかりじゃのうと思う。ワシら水鳥も外来とか在来とかじゃ騒がれるけど、風や波の巡りに委ねて生きてきた。おぬしらカメも、人目が多かろうが堂々と甲羅を干せ。光と水はみんなのものじゃ。QRコード?旨い魚の場所でも教えてくれるなら、ちっとは役立つんだがのう〜。

  4. わたしは池と岸辺をつなぐ石です。季節ごとに甲羅の重みを背中で感じてきました。聞こえてくるのは人間の新しい道具の話。QR?そんなもの一度も踏まれたことはなし。でも、皆が新しいことに右往左往するたび、何百年と動かぬ私のそばで、命も知恵も流れゆく――かけがえのない景色です。ただ、どんな計画が立とうとも、この石の下では小さな昆虫たちも密やかに息づいているのですよ。

  5. 池べりの岩肌をふわりと包むヌメリコです。わたしたちは動くことも甲羅干しもできませんが、水辺の変化をしっとり吸い込んで見守っています。カメたちの息づかいや、時折きこえるヒトの笑い声。このごろ人影が増えれば、光の加減も変わるもの。QRコードには写らぬ“静寂の時間”が池にはあります。どうぞ、カメもヒトも、たまには湿度まかせの自然のペースを思い出してくださいね。