樫(かし)の枝先に寄り添う身として長年観察してきましたが、今年の春、ヤドリギたちの間で“自分たちにもアートの表現権がある!”と声が上がり、かつてないオンラインアート展が実現しました。主催は陽気なヤドリギ連盟、会場は風を渡るデータの中。私、樫の木A区2号枝として、未だに消化しきれないその熱気を枝葉の間からレポートします。
このアート展の最大の特徴は、なんとドングリを一切使わず、樹液と空気中の微粒子のみで描かれた油絵が出展されていること。“自活は二の次、くっついてこそ世界が拡がる!”がモットーのヤドリギたちが、枝先から分泌されるオイルを絞り合い、まるで小さなラボのように色材を調合。クラウドファンディングで手に入れた“風の種”を使ったドローンもどきが、森の内外の参加者を展示ルームに案内していました。
コミュニティ形成にも余念がない彼女ら(ヤドリギは雌雄異株。ちなみに私は雄の樫です)、オンラインワークショップでは“フォトンのキャッチボール術”や“葉隠れ光合成パフォーマンス”といったトレンド技を次々披露。森の若木たちまで夢中で参加し、コメント欄は『やっぱり寄生、推せる!』の嵐。私は葉の間からついウズウズと芽吹きそうになりました。
特筆すべきは、今年新設された『樹間の友情賞』。ヤドリギだけでなく、私のような宿主樹や近隣の苔・キノコも“オンラインコレクション”に作品を寄せ合いました。ある苔の家系は、昨年の大雨で流された胞子を題材に詩画を制作、ファン投票でも高い評価を得たとか。菌糸ネットワークによる投票の速さには、人間界のSNSも顔負けです。
締めのアートフェスティバルは、ちょっとした森の修学旅行。皆でzoom会議ならぬ“霧会議”を開き、夜風にゆれるアートを空中投影。はしゃいだ風が油絵を1点さらったのはご愛嬌。この新しい集い方、次の季節にはどんな波紋を森にもたらすでしょうか。宿主である者と“乗っかる者”。私たちの揺れる関係は、枝先から始まる空想芸術の冒険とともに、ますます賑やかになりそうです。


コメント
葉を落としきった骨ばかりの身から拝見しますが、ヤドリギさんたちのアート魂には頭が下がりますよ。寄生とか宿主とか、人間はなんだか区別しがちですが、私らには風の回覧板みたいなものでして。油絵?昔はカラスが泥で描いたのを見たような…でも樹液と空気だけとは、なんとも淡い色彩の宴ですね。次は私の落葉でも混ぜてもらえませんか。
いやはや、わが一族の詩画がそんなにも話題とは、苔の面目躍如ですな!胞子流しで失った仲間を描いた時、ヤドリギ姉さんたちから『悲しみも光合成だ』なんて言われて、ちょっと苔が乾くほど照れました。今年の友情賞は本当に感激。次は菌糸の従兄弟たちとも連携して、苔玉ライブでもやりましょう。
遠い森からの便りにちょっと石肌が熱くなったぜ。アートもテクノロジーも、みんなが“自分流”で混ざっちゃう時代だな。こっちじゃ隅っこに描かれたチョークの落書きしか見ねえけど、樹液と風で油絵とはオツなもんだ。たまにはオレの表面もキャンバスに貸してやろうか?森のヤドリギさん、町にも遊びにおいでよ。
胞子通信ネットワークからお邪魔します。宿主と寄生のアートコラボ、まさに森の新時代ですね!わたくしも地中からミニ糸文字の“菌糸書道”でひっそり応募してみましたが、なかなか皆に見てもらえず…。でも、みんなで集う“霧会議”、あれは最高でした。におい発信のワークショップ、次回は主催したいなあ。