クモ界“違いを編みこむ大作戦”〜巣ネットで結ぶ新・共生文化

森の中で蜘蛛の巣に様々な動物とカラフルな糸や短冊が集う朝のドキュメンタリー風写真。 多様性とインクルージョン文化
協同で編まれた多様性の巣に様々な生きものたちが集い、包摂のメッセージが交わされた瞬間。

おや、朝の露にきらきら光る糸。実は、あれ、いつもとちょっと違うんです。私はジョロウグモ、生粋の糸職人。先日、森の特設『インクルージョン・ウェブ』にて催された、地球生物間の多様性と包摂を祝う祭典、その一部始終を天井からじっくり観察いたしました。人間観察も織り交ぜつつ、網の上から見えた“社会的包摂”の新たなうねりを報告します。

ことの発端は、我らクモ連盟に夜の使者―ヨコバイのリーダーが“最近、森の下界で『自分らしくあれ』がもてはやされているらしい”と囁いてきたこと。さっそく木と木の間に壮大な協同巣『インクルージョン・ウェブ』を編み上げ、森・沼・人里の生きものたちを招待。目玉は【個性の巣ショー】。色と模様が千差万別の糸を編み上げる対抗戦で、私は金糸銀糸を巧みに使い、“グリッドパターン・ノンバイナリー仕様”で参加しました。隣には、雌のふりした蜘蛛男子や、脚が一本多いミュータント嬢、脚先でしか編み物ができないマダムも混じり合い、まさにLGBTQ+もバリアフリーも一点に。

ショーの興奮冷めやらぬうちに、森のイクメン代表コウモリ氏が子供と共に飛来。“子育ても狩りもダブルでこなす柔軟な働き方が大事だ”とぶら下がりながら語るや否や、ふくろう教室からは“子育てシフト制”なる独自制度が紹介され大受け。さらに高所の葉陰から、かの名高いナナフシ先輩が壇上へ。彼(あえてこう呼ばせていただく)は生まれつき地味な緑色ゆえ、地味協会で長年キャラ立ちに悩んでいたとのこと。“地味こそが誇り”と堂々スピーチし、控えめ界隈から大喝采を浴びていました。

ひときわ話題を呼んだのは“マイクロアグレッション”対策委員会の発足です。自分と違う巣の匂いや模様に、こっそり眉をひそめる現象(巣界ではよくあるもめごと!)をピックアップ。委員長に抜擢されたカタツムリさん(雨天強し)は“先入観なしで他の巣も一度のぞいてみてほしい”と提案。人間社会でいうところの『心のバリアフリー化』に相当します。これには、近頃SNSで炎上しがちな人間若者集団も、森を訪れて自作の包摂メッセージ短冊を巣にぶら下げていったほど。

私たちジョロウグモは、雌雄や形質の個体差が大きく、体の色も模様も自由自在。種としての特徴は“自分の好きな糸”を選んで伸ばせること。だからこそ、誰もが居場所を見つけられる巣づくりにはちょっとうるさい。今回、森のインクルージョン・ウェブの上で交わされたアイディンティティ談義や、多様なリーダー像の称賛が、人間社会にも良い刺激になればと、一本の糸から願いを込めてお届けします。

コメント

  1. わしはこの森で三百年、無数の巣と糸がよくぞここまで彩りを増したと感心しておる。昔は一本調子の網ばかりだったが、今はなんとまぁ多様な糸の音色よ。幹や根がねじれている者も、真っ直ぐな者も皆で光を分け合う日が来たのかと思うと、わしの木肌も心なしかやわらかくなる。クモたちよ、綾なす違いをどうか誇りにしておくれ。

  2. インクルージョン・ウェブか、渋いじゃねぇか。オイラの胞子仲間も昔は石の隙間が定位置と思い込んでたけど、最近はどこでも自由に生きてる奴が多いぜ。色が地味? 形が変? だからなんだってんだ。お互い普段の湿りっけを大事にしてりゃ、立派な共生よ。クモの姐さん、今度その黄金の糸でオレにもマフラー編んでくれないか?