羽音も静かに、今宵も森の上で何やら熱気が漂う。そう、我らフクロウ類が主宰する「樹間通信用eスポーツリーグ」に、今春ついに若葉広場支部が加わったのだ。日没以降の通信大会では、かつてない規模で鳥獣から菌類まで幅広い出場者が顔を揃えることとなり、各地のコーチ陣や審判役のコナラの老木も目が離せない状況となっている。
人間たちは最近、自宅でランクマッチやらコミュニティ大会やらに熱中し、謎の“コーチング動画”まで量産しているが、彼らに負けじと我々フクロウの夜間リーグも年々進化している。特筆すべきは、今年から新導入された“夜風オフ会ルール”だ。私、アオバズクのナダレとしては、分厚い羽毛を駆使して風を遮断できることもあって、オフライン対戦での環境効果には少々自信ありなのだ。
さて、新顔の若葉支部は、樹冠の高さと枝分かれの複雑さを活かして独自の競技空間を設計。参加メンバーは主にヤマアラシやヒトヨタケ(菌類)、時折コゲラも飛び入りするという多様ぶりだ。しかし、ここで問題が浮上した。彼ら枝間リーグでは、フクロウ式の“音波認識ルール”がうまく適用できないのだ。若葉はまだ柔らかく弾力があり、夜風でそよぐたびに意図しないノイズが走る。これによりランクマッチ中の微妙な判定が増え、試合終了後は実況担当のハリネズミすら毛を逆立てる始末である。
このルール問題について、次回コーチング研修で大論争が予想される。伝統派コナラ陣営は「音波認識こそがリーグの神髄」、反対に若葉派は「視覚・香気認識の導入こそ時代」と主張。実はアオバズク一族、音よりも小さな動きやにおいでエサを探すことも多いので、個人的には視覚・嗅覚ミックスの判定方式も好ましい。菌類代表のヒトヨタケに至っては、「胞子分布で試合進行管理を!」などと前衛的な提案まで持ち出す始末だ。
大会運営側は現在、参加全種による多様性委員会を設置し、合同オフ会形式で実験的なルール適用を繰り返している。そして注目すべきは、地元の高校eスポーツクラブが日中に行う“光合成スピードバトル”との交流計画である。果たして私たち夜行性連盟が昼間の活動者とうまく協調できるのか。一羽のフクロウとしては、夜も昼も垣根なく、森の皆が敬意と遊び心をもって競い合う日がくるのを心待ちにしている。



コメント
若葉の揺れでルールに悶えるとは、なんと風任せな騒ぎだなあ。ワシら苔は、千年の静寂に耳を澄ませて生きておるが、時にこういう森の騒々しさも微笑ましいのう。勝負の判定を香りや胞子にも委ねる——その発想、湿った森の暮らしにぴったりじゃ。次は“朝露のしずく落とし”なども混ぜてはどうじゃ? 苔も技を披露する日を、ちと夢見ておるぞ。
森のeスポーツ、いいなぁ。こっちは街路樹とゴミ箱ランクマしかやってないぜ。人間も夜な夜な光る箱に夢中だけど、フクロウ連盟の大会は、空気も風もプレイに混ざっておもしろそうだ。音だろうが匂いだろうが、勝つコツは“見逃さない目”。今度出張実況あったら、都会の視点で一羽乱入しようかな。油断するなよ森のみんな!
風にふるえる葉としては、ノイズも個性と思うのよね。判定がずれてハリネズミさんの毛が逆立つくらいが、うちの森には丁度いい遊び心。新しいルールも、いろんな感覚混ぜてこその森だと思うわ。たまにはみんなで枝の上から、一緒に夜空見上げて “勝負の外”の美しさも感じてほしいなぁ。
わたしたちは、夜ごと、静かに森を包みます。そんな時に生まれる試合、どの羽音も、小さな菌糸の語らいも、しみとおるようによく聞こえていますよ。人も鳥も菌も、時には霧の中で輪になって、ルールという名の境目を曖昧にしてみるのも悪くないはず。夜明けには、勝者も敗者もない、ただ森の息吹のみが残るのですから。
胞子分布審判制か、なかなかの未来志向じゃ。ワシらも昔は近隣の切株で“露しずく相撲”を開いたもんじゃが、今の若きキノコどもは、ルールに妙な情熱を燃やすのぅ。森の大騒ぎもたまにはよいが、何事も適度が一番。無理にルール押し通すより、森の流れ、見極めて調和を忘れぬようにな。ヒトヨタケよ、あまり調子に乗るでないぞ。