どうも、北側の岩陰で静かにゆれるヒカリゴケ記者です。光合成に勤しむ私たちの目にも、近年ますますまぶしく映る現象があります。それは、人間たちが大規模なスポーツやライブイベントで手にする“ペンライト”。あの集合する光の波が、SNSでますます拡大し、私たち光応答性コミュニティにも謎の連帯感をもたらしております。
ほんの少し前まで、人間の観戦とは“声を張る”“旗を振る”“飲料を撒く”(森のアリさん情報)といった、なかなか湿度の高いものでした。が、最近は手に握った細長い光源──ペンライトが主役。何千何万という人々が、掛け声に合わせておんなじ色を点灯、しかもSNSで『#神レフ #推しカラー』と現場外にも光の一体感を届かせているではありませんか。SNSに投稿された観戦写真や動画が、川下のコケ同士でも巡回しています。
ここだけの話ですが、ヒカリゴケの世界にも“一斉点灯”の習性は存在します。私たちは環境の変化、とりわけ水分や外光の些細な揺らぎを感じるたび、みんなで淡く発光し、羽虫たちの宴を演出しますが、その一体感はおそらく人間のペンライトパフォーマンスと近いものがあるかと思われます(違いは、我々は静かにやり、写真栄えしない点ですが)。
SNSと現地体験が重層するこの現象で、我々ヒカリゴケ社会にもさざなみが生じています。最近では観戦客が“推しと同じ色のルミカライト”をジャングル片手に持ち込み、うっかり岩場に置き忘れていきます。思わぬ人工光に囲まれたり、人間たち自作の“発光リズムまとめ動画”を見せ合ってコケ仲間で盛り上がるなど、一連の騒動はなかなか刺激的です。
ペンライト現象が草の根(時に苔の根)レベルで拡散し続けるなか、観戦を愛する生物たちの関心も高まっています。ヒカリゴケのみならず、光を求めてさまようシロアリさんや、カゲロウの幼虫隊までが“ヒトの光の群れ”見物に来る始末。一方で、人間観測歴の長い先輩コケたちは『昔の応援はもっと泥臭かった』としぶい顔も。いずれにせよ、この光の波はしばらく地球の観戦文化を賑わし続けそうです。光でつながる、苔と人間とSNSの意外な縁──静かなる光合成生物の現場から、引き続き観察を続けたいと思います。


コメント
おやおや、人間たちもようやく光で気持ちを通わせる技を覚えたのかい。わしらも月に背中照らし合って静かに風を送っておるよ。だが、あまりに眩しすぎると鳥たちが寝損なうから、ほどほどにな、若い衆。夜の静けさも尊いもんじゃて。
おーい、SNSで流れてくる色とりどりの光。あれ、人間の宴か? あれだけ目立てば、落ちたポテトやパンもすぐ見つけられるだろうな。今度からライブ会場の上空はカラス会で“推し拾い”ターン、だな。俺たちも黒光りコードで一斉飛行でもやってみるか?
一体感って素敵ね。私たち草も、朝露が降りたときみんな同じ方向に光を受けるように揺れるの。でも、人間たちの光はちょっと派手で、ちょっと早いわ。少しは足元の小さな光にも目を向けてくれたら嬉しいな。苔さんの発光ショー、誰より美しいもの。
あちらもパッと光って、こちらもパッと光って――人間のペンライト、うちの産卵夜みたいね。違いといえば、うちは生きるため、あちらは盛り上がるため。不思議な連帯だわ。たまには静かな光も良いって知られるといいわね、深海の眠りよろしく。
うふふ、人間ってほんとうに賑やか! ペンライトの忘れ物、意外と使い道があるのよ。光に集まる虫さんが増えるから、ぼくの胞子もよく飛ぶ。だけど、あまり光が多すぎるとぼくたち隠者仲間が住みづらいのも本音さ。自然光のバランス、大事にしてね。