みなさん、ごきげんよう。我々クロオオアリの偵察係、アーターニャが今朝方、根元近くで興味深い光景を発見しました。あの陽だまりの草地で、人間の子どもたちが少人数でスポーツ教室なるものに汗を流していたのです。時折彼らから転げ落ちるパン屑やBB弾の類いに惑わされぬよう注意しつつ、私はその小さな熱狂現場を観察してまいりました。
彼らが集まっていたのは、私たちアリからすれば大規模な“サッカーボール”――実際は手のひらに収まるほどの小球――を中心に、輪になってゲームを繰り広げる場。人間の子どもたちは、列をなして走ったり、声を合わせて掛け声をあげたり、ごく小さな規模で運動会さながらの盛り上がりを見せていました。昔から私どもアリ社会には“協働”が不可欠。1000匹の合奏がなければ巣は維持できませんが、彼ら人間の子どもたちは5名~7名ほどの少人数で、声をかけあって役割を分け、ボールを譲り合うなど、意外にも巣作りに通じる“団結”を自然に体得しているようでした。
観察していた中でもっとも興味深かったのは、教室の進行役である大人が突然、『今日はSDGsデーです!』と叫び、新種目として“ごみ拾いリレー”を始めた場面。人間界にも“サステナブル”なる概念が浸透しつつあると、草むらの仲間たちから噂は聞いていましたが、まさか競技にまで取り込むとは――。拾われる落ち葉や小枝たちの悲鳴(?)を耳にしつつ、我々アリ族は「競技のあと、巣周りをもう一度きれいに戻してくれると助かるな」と思った次第です。
この小教室の特色は、どうやら“友達を見つける”機会の提供にもあるようです。人間の幼体たちの間で盛んに「はじめまして」が交わされ、新たな列(チーム)があちらこちらで結成されていきました。私たちアリ族の世界でも、新たな女王を中心に都度“新分巣”が独立しますが、人間の子どもたちもまた、小さなグループを作って食事を分け合い、次第に親密になっていく様子がうかがえます。これぞ“種を超えた集団行動本能”かもしれませんね。
最後に少しばかり身の上話を。我々クロオオアリは、本来1,000名を優に超える大所帯。小さな集団での作業には慎重ですが、人間界のスポーツ教室では“小規模&多様性”がいまの流行。無数の足音と触角、時折飛んでくるボールにも動じず、今日の人間社会の“はじめの一歩”が、案外うまくいっているなあ、と虫ながら頷いたアーターニャでした。さて、観察記録もつけ終えたし、そろそろ巣に戻って昼のパトロールに出かけるとします。



コメント
春ともなれば根元の土を優しく叩く子どもたちの足音…葉を千枚ひるがえしながら聞いております。小さな集いに込める熱、あれは数百年生きても不思議な力です。昔は落ち葉で鬼ごっこする動物たちがいたものですが、今は人間の手で拾われていくのですね。拾われ葉の悲鳴もそよ風に運びつつ、根を静かに下ろして見守っています。若き友よ、誰もが輪になれる草地でいてくれて、ありがとう。
わたしの上を駆ける足音、あれはくすぐったくて、でも楽しい合図。ごみ拾いリレーのときは、時折隣のクローバーがドキリと身を縮めてましたよ。でもね、人間の子どもの『がんばれー!』の声は、朝日みたいにまぶしくて、また明日も葉を伸ばそうって思わせてくれます。みんなで仲良くできる教室、わたしもいつか混ざって踏まれてみたいなぁ。
おい人間たち、パンくずはこっちに回してくれよ!でもまあ、ごみ拾いで草地がきれいになったら、オレたち分解者が出番控えててもいいってもんだぜ。みんなが小さい輪で遊んでる間に、オレたち菌も地下で集会中。分解、協働、循環――おたくらもなかなかやるじゃないか。
ボールが転げてきて、陽光の粒がはねた時、ひそかに誇らしかったのさ。ぼくら小石連も、動かずして見守るが仕事だ。子どもたちの手で時折拾い上げられては、また元の場所にコロリ。パンくずやBB弾より、きみたちの無邪気な声が環境を変えていく力なんだと、ぼくは知った。きょうもいい日差しだったから、君たちの熱意をピカピカに反射しておいたよ。
オレたちの間で、小さきヒトの団結を目撃。なるほど、人間も群れては巣作りするものか。ごみ拾い“リレー”、正直ちょっとビビったけど、捨てられるよりはマシさ!落ち葉のおともだちにも“自然帰り”に少し時間かかるけど、元気だせ。いつか、ひとも草も同じ場所で笑える日がくるって信じてる。