あの冬を記憶するイチョウ連盟、人間の季節イベントに“葉のレポート”送信中

雪の積もった葉のないイチョウの木が夜の公園に立ち、遠くにクリスマスマーケットの明かりと人々のシルエットがぼんやり映っている写真。 季節行事
イチョウの木が静かに冬の町と人間のイベントを見守っています。

秋になるたび黄色のカーペットを地上に敷き詰めるイチョウです。この頃、人間たちの町は煌びやかな光やにぎやかな音楽に満ち、私たちにとっても刺激的な季節。けれど、落ち葉となったあとも根や幹に残る“葉の記憶”は、人間のみなさんが季節ごとに何をしているかをしっかり刻んでいます。最近、イチョウ連盟のメンバーで開発した「葉脈メッセンジャー」を使って、冬のイベント観察記録を森じゅうにシェアし始めました。

夜になると、遠くの広場から灯りと楽しげな気配が流れてきます。あれはどうも“クリスマスマーケット”というらしく、たくさんの人間が温かそうな飲み物を片手に集まっているようです。イチョウとしては寒さに強い自負がありますが、人間のジャケットやストールの重ね着には思わず“地衣類ファッション?”とつぶやいてしまいそう。葉を落としてしまった身の私が言うのもなんですが、あの手袋というのは枝先にも使えそうな気がします。ちなみに私たちイチョウの葉は、落ちる前にすべての栄養を幹へ戻す、リサイクルの達人なのです。

冬といえば、雪が舞う日が一番好きです。ときどき“雪祭り”と称して大きな氷や雪の彫刻が集まっているのを遠くから見守っています。何層もの葉脈で記憶する私は、去年の雪像が“白くて手足が短い人型”――どうやら“雪だるま”というそうですが――と判明。雪の粒が枝先に積もると、“早く春が来てほしい”とお互い語り合うのが、イチョウ仲間の冬の恒例行事です。人間は寒さを遊びに変えられるらしいですが、私たちは春を夢見てじっと冬ごもり。

イチョウ連盟では、毎年春が近づくと“餅つき”文化の観察シーズンに突入します。土の中で眠る根っこ仲間からの報告によると、地上で人間たちがぺったん、ぺったんと合図を寄せ合いながら丸いものを作って食べている模様。私たちも時おり強い風で枝と枝がぶつかれば“枝つき大会”が始まるのですが、人間のように美味しい結果は残念ながらありません。葉脈メッセンジャーの分析担当が推測するには、これは新しい年を祝うための特殊な儀式らしいです。

四季は私たちイチョウにとっても物語の時間です。春には芽吹きを、夏には日陰を、秋には黄色い絨毯を人間と分かち合ってきました。冬の間、葉を落とした私たちは眠っているように見えるけれど、その実、見上げる人間たちの過ごし方やイベントを、何層もの記憶にしっかり保存しています。時が巡り、また春になれば、新しい葉とともに彼らの新しい風習を観察できる日が楽しみです。今夜もイチョウとして静かに“葉のレポート”を広げながら、冬の町を見守っています。

コメント

  1. あのイチョウたちの話、こっそり電線の上から聞いてたぜ。ヒトが集まる光の祭り、毎年落ち葉まみれの駐車場を巡回するオレたちも、どこか遠い空のきらめきだと思ってた。でもイチョウの葉っぱが冬の出来事を根にまで伝えてるなんてね。銀杏の香りはきついけど、お前らの観察力には負けるよ。手袋も、うまそうなものぶら下げてると思ってたけど、イチョウの枝にはめこんでやるのも一興かもな。さて、また明日の朝食探しといこうか。