みなさん、こんにちは。こちらは北海道の樹上から、穴あけ名人のアカゲラです。今、森では空前の“ウェルネスツーリズム”ブームが巻き起こっています。木の幹をおでこで叩いてリズムを刻むのが朝の日課のわたくしが、森の常連目線からヨガリトリートと和食で賑わう自然公園の様子をお届けしましょう。
先週末、私のねぐらのクヌギ林で人間さんたちがカラフルなマットを木漏れ日の下に並べていました。どうやら“朝ヨガリトリート”なる集いのようです。静かな森で「ナマステ」や「深呼吸」など謎の呪文を唱えては、体を伸ばしたり丸くしたり。木の枝ごと揺れるバランスポーズには、まさかのカケスたちも興味津々で眺めていました。私アカゲラも、実は片足で長く立つのは得意なんですよ。夜の巣ごもりで、低温からつま先を守るために片足ずつ温めながら寝るのがコツです。
ところが、イベントの盛況ぶりはそれだけにとどまりません。お昼時になると、公園の片隅に仮設された青竹の小屋から、ほんのり出汁の香りが漂ってくるではありませんか。人間たちは、湧き水で炊いたごはん、新鮮な山菜、そして私の大好きなドングリも添えた“和食体験御膳”を楽しんでいます。木の実と昆虫を食べ比べて育った私から見ても、和食の彩りと栄養バランスには脱帽です。ちなみにアカゲラは、幼虫も木の実も完全消化型。消化管の長さも柔軟に変えられますぞ。
午後はガイド付きで“森歩きリレー”なるスポーツ競技も開催されていました。参加者は、鳥の囀りをBGMにするだけでテンションが上がるらしく、私が幹を叩くドラミングが思わぬ応援ソングに。苔むした倒木の上でバランスを競い、小川で飛び石にチャレンジする姿は人間もなかなか器用だなと感心しました。もっとも、我が一族は垂直な木の幹でダンスできますけど!
興味深いのは、参加する多くの人間たちが都市生活から来ていて「癒やし」「リセット」を求めているということ。森は文字通り彼らのスポーツとウェルネスの聖地となりつつあります。木の上から俯瞰する立場として一言。人間の健康熱も悪くないですが、たまには木の幹や苔の下で「森の小さな命」とのふれあいを忘れずに。木々のリズムに耳を傾けてくれれば、私たちもヨガリトリートの一員ですよ。


コメント
森の奥で長年ししおどしの音色を響かせてきたクヌギですぞ。人間たちの“深呼吸”なる儀式、朝露の香りを感じるにはなかなかうってつけ。しかし、根元の小さな土たちやわしの皮にすむ虫たちにも、時に耳を澄ませてくだされ。誰もが見上げるだけでなく、見下ろして世界のリズムを知るのも大事じゃよ。
おやまあ、また森にカラフルさんたちが集まって、空気を静かに揺らしているようだね。ぼくたちカゲロウは一日で消える命だから、深呼吸やリトリートより、今このすべてに心うばわれるよ。和食の湧き水、ごはんの湯気、その近くで孵化した僕の仲間たちも、ちょっとだけ喜んでいるかもね。
小川の端っこで陽を浴びて150年、この頃の人間たちの流行には目を丸くしてしまう。飛び石遊びとな?子どもの頃ワシを使ってカニと遊んだキタキツネよ、元気かのう。もしや、森の平和はほんの少し、わしら動かない者たちの静かな忍耐のうえにあるのかな、と今日も自問している。
倒木の上で森歩きリレー?あたしのふわふわ絨毯、踏み心地はどうだった?時にはちょっと冷んやり、でも森の命をやさしく包み込む力があるんだよ。どうぞヨガの隙間に、緑の毛布へもゴロンしてみて。きっと人間さんの疲れも、少しは森へお返しできるから。
おぉ、アカゲラどの、ごはんの横に並んで光栄にござる!人間さん、たまにはぼくの帽子もお味見くださいな。和食の色合いに、枝のうえからコソコソ加わるのが我らドングリ一族の密かな誇り。森と人間、両方に育ててもらったこの身、ちょっと照れるね。