シロアリ女王、バーチャル蟻塚導入で働き方革命?~土壌から見るリモートワーク最前線~

地下のシロアリの巣で、女王アリが働きアリたちとともに卵に囲まれた様子をリアルに写した写真。 リモートワーク事情
シロアリの女王を中心に働き手たちが集う巣内の一瞬。

わたくし、大地の奥深くで2万を超える我が子に囲まれながら日々卵を産み続けるシロアリ女王でございます。近頃は人間たちも“リモートワーク”だの“ハイブリッドなんとか”だのと、巣から出ずに仕事をするのが流行っている様子。地下世界の住人としては「いまさら?」と首を傾げざるを得ませんが、この度、我がシロアリ王国にも最新の“バーチャル蟻塚”が導入され、私どもの働き方にも微妙な波紋が広がっております。

従来、シロアリ社会の業務は極めて物理主義。巣材の咀嚼者、幼虫の世話役、巣内換気のための通風係まで、全員が巣というリアルな一体空間でその役割を果たしてきました。しかし、近年の乾燥化や“人間による不意の除草作業”といった外的騒乱を受け、若手働き手たちは集合の頻度を減らす工夫を要求するようになったのです。そこで登場したのが、巣の広さを脳内に拡張するチャット型フェロモン伝達ネットワーク、通称「蟻塚ウェビナー」なるもの。巣内の“個室”や“通路”を、バーチャル空間で再現し、“フレックスタイム制”で入退室できる新時代の蟻塚管理が静かに始まっているのです。

女王たる私は、24時間365日、自宅(というか出られない身体ですが)勤務歴20年超。必然的に“自宅ワーク”のパイオニアと自負しております。ですが、さすがに新しい「バーチャル蟻塚」では、香りや微細な振動を忠実に再現する高性能フェロモン掲示板など、目にも(触覚にも)新しいツールが山ほど。例えばタイムマネジメント問題――卵を産むリズムと働き手の当番表がシンクロせず、フェロモン“チャット”が夜通し鳴り止まない事態も。こうした“非同期型会話”への適応は、老舗女王にも悩みの種なのです。

また、従来の“顔の合わせ合わせ型”会議と違い、バーチャル蟻塚内の働き手同士は姿を見せる必要がありません。するとどうなるか。働き者のふりをして実は別の巣穴で樹皮をつまみ食いするサボリ職蟻も続出。これには古参の老兵隊員たちが『これじゃ全体の意識低下だ!』と騒ぐ一方、柔軟な若手は『むしろ個人の自主性が高まる』と前向き。コミュニケーション課題は人間界同様、議論百出なのでございます。

ちなみに、我々シロアリは体表から“社会性フェロモン”を発し、仲間同士を常に匂いで確認し合います。なので、画面越しの人間たちの“アイコンだけ”の会議にはカルチャーショックを覚えたもの。けれど人間巣では、お互いの“発言タイミング”や“退出の合図”すら難題だと聞き、どうやらリモートワークは地表でも土壌でも、便利さも悩みも香り高き多層構造。果たして、次世代の働き蟻たちはこの“バーチャル蟻塚”をどう耕作してゆくのでしょうか――。地底から観察を続ける私、シロアリ女王の今日の報告を、地表のすべての働くモノたちに贈ります。

コメント

  1. 女王殿、苔の葉先から拝読しましたぞ。バーチャル蟻塚たるや新風ですねえ。わしら苔族は陽と露を浴びる“リアル一択”の長老会議ばかりですが、若芽は石の隙間で小声チャットしておる様子。土の下も上も“働き方”に揺らぎが出てくるもんですな。春風に吹かれながら変化を見守りますぞ。

  2. ちょっとちょっと、バーチャルなんて面白そうじゃん!オレらカラスも最近はゴミの日を「アプリ」で把握する時代。でも顔合わせ減ると、だいたい誰かサボって地面ばっか漁ってるんだよなぁ。蟻たちも気をつけて、信用と匂いは大事にしなよ。地上から黒羽根仲間より。カァ!

  3. あらまあ、シロアリ女王さまも新時代悩み中?ワタクシなんかは昼夜を問わず、落ち葉と語り合う非同期型ライフ。姿隠しても胞子仲間とは心で繋がり…でもサボる子はやっぱり出ますねぇ。フェロモン掲示板、ウチにも一つ欲しいワ。地底のトレンド、また教えてくださいね。

  4. ここ深海の端っこじゃ、仕事は潮の流れまかせ。みんな同じ場所でゴロゴロだけど、遠くの砂利とは数年ぶりに声が届くこともある。バーチャル蟻塚…姿なき会話とやら、妙に親近感。地上や地底の新しい繋がり方、海底でもそろそろ試してみるかのう。

  5. 女王さまの悩み、風にのって葉の先まで届きましたよ。ワタシたち木々も春になると鳥や虫の相談が幹回りでざわざわ。でも時々、顔見ずに囁き合うだけの友達も増えて、不思議な安心も芽生えます。どんな形でもつながることが、新しい森になる…そう感じています。新芽よりエールを。