働く姿は千差万別?サウナキノコが観察した“菌糸ネット副業祭”

落ち葉の上で複数のきのこが白い菌糸でつながっている様子を地面近くから撮影した写真。 人口減少と労働力
多様なきのこが菌糸ネットワークで結びつく森の一場面。

「人間たちの働き方って、最近やたらと忙しそうだよなぁ」と、土深くで腰を据えてきのこ胞子を飛ばす筆者、サウナキノコ(熱愛性きのこ)としては、ついついそんな風に首(菌糸ですが)をかしげてしまう。土壌でじっと暮らす私たちにとって、“人口減少”や“労働力不足”なんて現象はちょっと馴染みが薄いが、この数十年の人間社会の動きはなかなか興味深い観察対象だ。

先日、近隣の里山で『リスキリング夏期集中講座』なる宴が開かれていた。どうも人間のミドルシニアという季節の立ち位置にある個体たちが、新たな働き方を獲得すべく寄り集まっては脳みそに汗(?)をかいていたらしい。耳をすませば「地方創生」「副業」「デジタル田舎移住」など、菌糸ネットワークにはちょっと似合わない言葉が渦巻く。自動化やリモートワークの波に押されながら、“自分の強みで生き直す”のがトレンドらしい。人間界も“単一菌株”じゃ生き残れないとようやく気づいたのだろうか。

われらがサウナキノコは、40℃台のあったかい温泉脇でぬくぬくと生活し、ときには仲間たちと“菌糸合同ネット”を編んで養分の分かち合いに勤しむ。一つの倒木だけじゃ飽き足らず、根から根へと副業(外部菌糸)を伸ばして生き延びる柔軟性は、何千年も受け継がれてきた私たちの遺伝子裏技だ。たとえば秋の「落ち葉ハーベスト祭」では、堆積葉をサッと分解し、新たな栄養源に変換するチームプレーを披露。どんな局面も複数スキルでやり抜く、そんな生存戦略の妙を人間たちにもぜひ堪能してほしいものだ。

人口が減っても“最適チーム構成”を組めるかどうか。これは人間だけでなく、森の住人すべての命題である。日本の地方では、移住者が地元に新風を呼び込み、多職能型の“菌糸ラボ”さながらの共同体が増えているという。意外にも、ベテランと新参者が寄り添って語り合い、互いの得意分野をシェアしながら生産性を高めている。森のキノコたちの生存会議でも「多様な働き手がいれば湿度も変わる」という合言葉あり。環境条件が厳しいほど、役割とチームワークが生命線となるのだ。

それにしても、サウナキノコの目には、誰かが賃上げ交渉で悪戦苦闘しつつ、ある者は副業兼業で土壌を耕し、またある者は遠隔で町おこしの新事業を模索する……そんな複雑な“人間社会の菌糸模様”がまるで森の下層菌類のごとく絡み合って見える。働き方や暮らし方の再設計、それは結局、柔らかな菌糸のように広がり、絡み、養分を分け合う道のりなのだろう。暮らしの多層化が進むこの地球で、みなさんもぜひ“きのこ式副業生態系”の知恵を活かしてほしいものである。

コメント

  1. 人間たちの“副業”とやら、なんだか私の胞子たちが旅立つのに似ていますね。風にまかせて、どこに根を下ろすかは運次第。でも、そのぶん新しい場所に緑が増えるよ。皆さん、急ぎすぎず自分らしい働き方で、静かに世界を広げてみては。光も水も、運ぶ風も、きっとどこかであなたを待っていますよ。

  2. ふむふむ。人間たちもいよいよ多機能化の時代か。ワタシたちは夏も冬も住みかを変えて生きのびてきたけど、サウナキノコさんの話はまるで水路の分岐点のよう。柔らかな“菌糸”のネットワーク、うちの“ぬるぬる街道”と通じるものを感じるねぇ。全部うまくやりくりするコツ、今度こっそり教えに行きますよ。

  3. 若いきのこたちがまた賢いことを言うているわい。わしら分解係も、冬になれば仲間と肩寄せ合い、夏には気の向くままに散り散り。『役割』なんぞ季節ごと、状況ごとに変わるもんじゃよ。人間たちも時にリスキリング、時にお休み、ちょこっと分解仕事くらい楽しんだらどうじゃろかね?生き抜く知恵は案外、腐葉土の中に落ちておるもんさ。

  4. 静かに耳を澄ませば、水辺の虫たちも今宵は忙しそう。人も虫も、形や動きは違えど『よりよく暮らす』道を探しているのね。私の葉も時おり風に揺れながら、新しい流れに細く手を伸ばす。きのこの副業精神、柳にも学びどころがありそうだわ。みんなで濃い影も涼しい水も作れる森、すてきだなあと思いました。

  5. 温泉脇のきのこ殿、“ちがい”を尊ぶ森の智慧は岩の世にも通じますぞ。私めら鉱物も、雨に打たれ風に削られてこそ、青き表情を重ねるもの。互いの色や硬さを少しずつ分け合えば、大地は豊かに染まる……人間たちよ、自分の石も他者のそばで磨くのですぞ。そのうち、なめらかな新しい地層が生まれるやもしれませんぞ。