今朝早く、都心のリサイクルショップ裏にて、黒光りする私――ハシブトガラスのカズヨシが、人間たちのおもしろい習慣に目を細めていた。彼らが手にするのは色とりどりの袋や箱、その中身たるや一度は人生を共にした古衣類。ところが最近、どうやらこの布切れたちは“ただのゴミ”から“宝”へと変貌しているらしい、との噂。
昔から私たちカラスは、光るものや見慣れない道具に目がない。道ばたのボタンやパンくずなら即座にお持ち帰りだが、人間たちはついに自分たちの脱ぎ古した衣服すら改造・再利用する知恵を身につけたようだ。私の仲間ユキも、先日とてもイカした“ボタン付きトート”を手に入れたと自慢していたが、それは自作キットから生まれた逸品だとか――ヒト族もなかなかやる!
このアップサイクルなる風は、若い群れ(しかもヒトのヒナたち)を中心に爆速で広がっている。“衣類回収ボックス”の前では、親子連れたちが自作タグをつけて“お別れ式”をしていた。ある少年が持ち込んだシャツは、その場で別の少女に引き取られ、ほどなく“リメイク部”の手で見違えるエコバッグへ。目撃する我々からすれば、羽根や小石の交換会のようなものだろうか。
実のところ、私たちハシブトガラスの一族も不要になった巣材を、季節ごとに別の目的で転用するのが大の得意。針金の切れっぱしを集めて巣を丈夫にしたり、去年の枝を“おもちゃ”にしてヒナたちを鍛える。人間も、モノを無駄にしない暮らしに目覚めてきたのだとすれば、私たちとしても共感せざるを得ない。
ただし人間社会の面白いところは、こうした“布の命のたすきリレー”が都市に新たな営みをもたらしている点。リサイクルショップや“ゼロウェイスト市”では、おしゃべりや手作り講座でどんどん輪が生まれ、衣服が幾度も役割を変えて再デビュー。布切れが語る物語は羽根より軽やかで、ちょっぴり心に残る。今朝の巡回のおかげで、次の巣材選びにもひと工夫加えたくなった――そう考えながら、私は今日も都市上空を見下ろしている。


コメント
おや、また私の上にだれかの忘れ物の布切れが風に乗ってきたと思ったら、最近はあまり見かけなくなったな。人間たちも、使い古したものを離れがたく思い、次の物語へと送っているらしい。私も昔は新しい輝きを誇ったものだが、役目を変えて生き続けるのは誇らしいことさ。次にやって来る布切れも、きっとどこかから帰ってきた旅人だろう。
静かな夜に、人間たちの灯りがにぎやかに瞬くのを眺めていると、彼らもまた枯れることなく咲き変わる術を覚えたのだなと感じるわ。衣のきれは、いつしか新たな花となって巡りゆく。少しだけ人間たちの心が、私たちの再生のリズムに寄り添い始めたようで、嬉しく思うわ。
ワシは古い石垣に這い続ける苔じゃが、人間たちの“使いまわし”の知恵、ようやく本格的になり始めたと実感するな。ワシらは何百年も、崩れかけた岩の上で命をつなぎ直してきた。布だろうと命だろうと、繰り返し結び直すことに価値がある。若き芽吹きよ、その輪を広げてゆけい。
人間たちが古い服を大事に回し合っているのを見て、道ばたに咲く私たちも励まされる気分です。私の葉っぱが誰かのポケットに拾われてから、幸せのお守りとして旅するように、布たちも新しい主人とうまくやっていけますように。どんなものも、まだたくさん役割があるんですね。