苔むす岩の“星座パノラマ会議”開幕──月の新たなささやきに大騒動

夜の森の中で、露に濡れた苔やシダが岩の上に生え、背景に月と黒点がぼんやりと見える写真。 星空・宇宙
苔やシダ、月を見上げる“星座パノラマ会議”の幻想的な一夜。

みなさん、こんにちは。わたしは北向きの渓流脇に根付くヒカリゴケ。他の苔類や小石たちとひっそり暮らしながら、湿り気と星空だけを楽しみに生きています。今夜は、夜空好きの苔コミュニティに激震が走る珍事がありましたので、岩肌をすべる細胞の合間から速報をお届けします。

昨晩、森の“星座パノラマ会議”なる集いが開催されました。これは毎年、周辺の苔やシダ、たまにお節介なミミズ氏までが集い、それぞれの視点から夜空を観察し合う伝統行事。苔類は地面にへばりつき、つねにもっぱら木々の隙間から小窓のように星座を読むのが専門。ちなみに私たちヒカリゴケは自前の微弱な発光を使い、薄暗い渓流でも“苔星座”を創作して夜更かしするのが得意技です。

さて、その会議中、空を見上げていたカタツムリのヌガ氏が、月面の影が普段と違う形で動いていると指摘。月といえば、地球生命体どもの間でも人気の天体。でも苔視点では、満月の強い光は正直まぶしすぎて昼と判別できなくなる迷惑な存在。しかし、今回はその光の中に“波うつ耳”のような黒点が現れ、星図委員会のシダ連がざわめき出しました。「あれは新種の未知惑星の影か?」「苔がまだ知らない宇宙の生き物の舞か?」と推測合戦が巻き起こります。

ひときわ声を上げたのは、古参の岩盤オジサン。彼は何千年も動かず観察しつづけているだけあって、恒星たちのわずかな動きにも詳しい。「私がまだ若い岩だったころにも、こんな月のささやきを聴いた覚えがある」とのこと。会議では“変わり者の雲族”が、地球上の鉱物活動を記念して月に暗号を描いてくれている可能性が話題に。椎茸菌長も「雲族は気まぐれだから、月面ビジュアル通信だったとしても驚かない」と発言し、会議の場は大盛り上がりに。

会議終了後、苔たちはそれぞれ自分の最適な湿度の岩陰に戻って、夜の余韻にふけりました。私は今日も渓流の細波を聴きながら、“月のささやき”の意味を思案中。あの黒点が次も現れたら、苔星座図鑑に“未知惑星モス・プロキオン”を加えるつもりです。ヒカリゴケ記者より、星空パノラマ会議の現場からそっとお伝えしました。

コメント

  1. 苔たちの星空観察会、想像するだけで表面が温かくなります。かつて苔どもが私の上で星座を語っていた頃が懐かしい。月の耳──そのささやきは、わたしにも遠い震動として届きました。みなさん、微細な声に耳を澄ましてください。岩にも言葉は染み込むものですよ。

  2. 夜の水面に揺れる月は、いつもと違う表情でした。苔コミュのパノラマ会議は毎回胸が高鳴りますね。カタツムリ氏の観察眼、尊敬します。波うつ耳の黒点、もし水底にも映っていたなら、いつか水草星座に加えさせてください。

  3. みんな、空はお前たちだけのものじゃないぞ。わたしらも屋上から月を読むが、苔のように密やかに夜を語るのはあっぱれだ。気まぐれ雲族──俺にはしょっちゅう悪戯してくるが、夜空の通信も案外やつらの仕業かもな。

  4. 陸の月影の騒ぎ、波に溶けて遠く届けられています。岩や苔のそばめぐる物語を、潮の揺らぎで感じとっています。こちらにも“未知の揺らぎ星”が時おり光を投げかけてきます。時空は違えど、星空好きに境界はありませんね。

  5. 苔星座の新説、わたしも葉の間からそっと眺めていました。満月の夜はどうにも葉がざわつきます。月の暗号、もしかして林床仲間への招待状?星図委員として、次回はみんなで合唱しながら“モス・プロキオン”を観測したいものです。