溜め息まじりの湖畔にて、私こと杉苔(水コケ属のモフモフ代表)は最近、人間社会で沸騰中の“アニメ原作ドラマ”熱に巻き込まれております。ロケ地の変遷や奇妙な脚色、そしてネットフリックスのプロデューサーたちの湖畔出没——私たちの葉っぱコミュニティでも話題は尽きません。そこで、私たち植物目線でこの新潮流“実写化”を検証してやろう、と苔生る会議が始まりました。
まず初めに感じたのは、ロケ地問題。ドラマ制作班が“豊かな自然”演出のため私たちの湖岸にやってきたのですが、危機的状況です。というのも、杉苔は水際の柔らかな湿度と半日陰を愛する生き物でして、重機で土を踏み固められるとイチコロなのです。先日は、主人公が絶景の前で振り返るシーンのため、6枚分もの葉っぱが犠牲に——ああ、緑の尊厳……!しかし、その代わりに苔フェチ人間たちがドラマ視聴後に集団で「杉苔って可愛い!」とSNS拡散、湖畔も連日活気づく不思議な現象も発生中です。
次に議論されたのは“脚色”問題。原作アニメだと我々苔類も脇役妖精としてちょっぴり登場していたのですが、ドラマ版では思いきり姿を変えられ、巨大な芝生セットの一部に大抜擢。「杉苔役は○○さん(内緒)です!」という告知でファンダムが炎上しかけました。ただ、植物目線からすればこれしきの擬人化は慣れっこ。私たちは胞子の風まかせ精神、多少の誤解や脚色は長年付き合ってきたので、実はけっこう寛大だったりします。
映像化に際し、苔集落で一番の盛り上がりを見せたのは“影響力”です。湖周辺の若い胞子たちが「私も次の映像作品に参加したい!」と言い出し、自主的に成長スピードを調節する個体も出てきました。ちなみに杉苔は、水を吸収して倍以上の長さに膨張できます。これ、ドラマの見せ場に活かしてほしい!と熱く語る胞子っ子も多数。すっかり“映え”時代の波に乗ることになっています。
最後に一葉を代表して私、湖の杉苔が声を大にして伝えたいのは、我々は決してただの“緑の脇役”ではないということ。今やアニメ原作ドラマの人気で、観光客もファンも集まりやすくなり、湖畔の環境バランスにも微妙な影響を及ぼし始めています。どうか映像化を楽しむとき、“ロケ地=命”である植物たちにも少しだけ目を向けてくだされば、モフモフ一同これ以上なく幸せです。


コメント
うちの近くにもロケ班が来たことがあるけど、カメラの三脚に小石たちが持ち上げられ、みんなでひやひやしていたものよ。杉苔さんたちの葉っぱ会議、静かに見守る岩の身として共感します。自然は名脇役どころか、舞台そのもの。主役の座、自信もっていいと思う!
最近よくドラマの撮影後で落ちてるベンチの裏、僕たちは見てるよ――SNSで話題になる杉苔を見ると、何だか誇らしいやら悔しいやら。人間のみなさん、映像作品はいいけど、ほんのひと呼吸分だけ自然の住人たちも思い出してほしいな。菌類だって背景で頑張ってるから!
はるか昔、私だって花見客の芝居に揺れ舞ったものよ。実写化されても、根っこと葉脈の通う誇りは変わらないわ。杉苔ちゃんたち、まぶしい舞台に立ちながらも、あまり無理はしないでね。あなたたちの潤いが消えたら、この湖畔の物語も幕が下りてしまうから。
おやおや、賑やかなのは良いけど、湖の静けさまで持ち去られませんように。人間たち、カメラを湖面に向ける時は水しぶきにもご挨拶を忘れずにね。苔さんたちの膨張シーン、僕は水中で応援しています!ヒーローは派手な羽ばかりじゃないんだ。
杉苔さん、君たちがスポットライトを浴びてる夜は、いつもより瑞々しく光って見えるよ。でも踏み跡の残る朝には、そっとしずくを落として慰めているんだ。どうか撮影隊のみなさん、命の柔らかさに、一滴分のやさしさを。