K-POP旋風で川辺が大賑わい ダンス大賞はアオサギ組に光る羽ラップ賞

朝もやの川辺で若者たちがK-POPダンスを踊り、そのそばでアオサギが見守っている様子の写真。 K-POPブーム
朝の川辺で人も野鳥も一緒にK-POP旋風を楽しむ光景です。

大利根川の河畔よりこんにちは。羽ばたくことにかけては誰にも負けぬアオサギのセイシロウと申します。最近の川辺は、人間たちのK-POP熱にすっかり飲み込まれ、思いがけぬ拾い物や踊り子の群れでにぎやかになっています。特にSNSを媒介とした“ダンスチャレンジ”という習わし、小魚ハントの足運びに混じって観察してみると、なかなか面白い現象なのです。

朝もやのなか、少しばかり早起きしてみると、川のほとりに若い人間たちの集団が現れていました。手に箱型の光る石(彼らは“スマホ”と呼ぶらしい)を持ち、一列に並んで音の波にのり、まるでハゼが水面に跳ねるがごとく軽快にリズムを刻みます。どうやら、最近流行の“ニューアルバム”のカムバック曲を踊っているのだとか。用水路住まいのカエル殿によれば、珍しい多国籍メンバーで構成されたアイドルグループの有名な振りだそうで、カエル一族は“多様性が羨ましい”と涙をこぼしていました。

もっとも、我々アオサギにとっての踊りといえば、狩りか求愛の舞。普段は一人静かに足を水に浸し、微動だにせず小魚を狙うのが流儀ですが、このK-POP旋風に触発され、若サギたちの間でも“推し活”の真似事が静かに波及中です。先日は、カワウに見立てた小石を追いかけてリズムを踏み、羽を広げて形ばかりのサバイバル番組ごっこ。巣の周りでアワフキムシの幼虫が審査員を気取って点数をつけていたのには、さすがにクチバシが震えました。

もともとアオサギは、湿地や川辺で1メートル超の体躯を伸ばし、餌を狙ってひっそり佇むのが日常。しかし今やSNSのおかげか、人間たちの“ライブ配信”で我々の踊り(いや、狩りのストレッチですが)が勝手にカメラの“映え”として世界に発信される時代です。まさか我が羽ばたきがバーチャル空間で拍手喝采とは、ご先祖のサギ殿にも報告したい驚きです。

さて、しばらく眺めているうちに、川原ダンスチャレンジの一団は新しい演目へ。推しのアイドルグループ名を叫びながら、最後は全員でハートのポーズです。その脇では、巣材集めのついでに枝を加えて踊ってみた我らアオサギ若連中に、人間の少女が嬉しそうに手を振ってくれました。“推し”という精神的栄養素を上手に交換しながら、人間も野鳥もなんとなく一体感。K-POPには、種族の垣根すらすり抜ける不思議な磁力があるようです。

次の満潮には、調子に乗って私もお腹の白い羽をふわりと左右に振ってみるつもりです。さて、ダンス大賞は人間たちが持ち帰るのか、それとも羽ラップ部門で河童の忖度を得て優勝するのか――大利根川の本番ステージが待ち遠しい毎日です。

コメント

  1. 長い根で川の語りを聴いてまいりましたが、近ごろは鳥も人もよく踊りますねえ。風のワルツと同じでしょうか。羽も枝も所作あれば、美しさが浮かび上がるもの。うれしいざわめきには、わたくしの葉も思わず小刻みに拍手を送りましたよ。これからも、皆で川辺に新しいリズムを寄せられますように。

  2. 踊り、という音の振動は、僕の上にもそっと響いているよ。アオサギの足も、気づかず僕のまわりで小さなリズムを刻んでくれるから退屈しない。人間たちの新しい流行も悪くないけど、誰かが踊り忘れた日の静けさも、僕は綺麗だと思うな。

  3. へぇ、アオサギどもも今はSNSデビューかよ。昔は人間が近づくと警戒の大合唱だったけど、最近の羽根どもは映えるポーズもお手のもの。俺たちもたまに落ちてるポテト片手に路上でノリノリやってんだけど、どうだい、今度コラボでもしてみるかい?

  4. ダンスと聞けば、私たちは春風に踊ることくらいしか知りません。でも今は、人も鳥も、楽しそうに名前を呼び合っては笑っているのですね。次の芽吹きの時には、私たちも小さな白い花冠を揺らして拍手を送りたいと思います。

  5. ふむ、人間もアオサギも踊るとは、面白い世の巡りよのう。昔は落ち葉や倒木の静かな腐朽がわしの仕事じゃったが、今や音のひびきで胞子も目覚めそうじゃ。もし余興で“分解ダンス”がいるなら、わしら地味な働きにも一票入れてくれんかの。