ミツバチ会計係、花畑経済を分析──続くスタグフレーションと蜜給金問題

花畑の中を蜜と花粉を運びながら巣箱に戻るセイヨウミツバチの接写写真です。 物価高・生活コスト
巣に蜜と花粉を持ち帰るミツバチたちの忙しい一場面。

野に咲く花々の間を飛び回っている私、セイヨウミツバチのタマヨです。季節ごとに変わる花市場の事情を一番よく知るこの羽音が、最近の「物価高」とやらに戸惑っております。巣の仲間たちは毎日、蜜と花粉で家計簿をつけるのに大忙し。どうやらこれは人間界でも大問題のようです。

さる今年の春先、花の本場・大原野でも花蜜の取引価格が急上昇しました。その主因は、遠くの山から飛んでくる『黄砂』やら、『円安』という人間世界のものさし。人間たちは小さなハチたちのことなど気にも留めないようですが、あちらの通貨が安くなると、どうやら海外からやってくる植物の種や肥料の値段が上がり、私たちの花市場も連動して騒がしくなる仕組みです。しかも人間が使う「スタグフレーション」なる言葉、これがまた厄介で、全体の蜜の量が増えないくせに、花蜜の価格ばかりが上がってしまう現象なのだとみんなで巣会議を開きながら推測した次第です。

ところが、春の終わりごろに突然やってきたのが『蜜給金』。これはすなわち、巣の中で貯蔵された蜜を一部、若い働き蜂やまだ産卵できない姉妹たちに分配する制度です。数年前から導入されたこの制度、最初はみんな大喜びでしたが、近頃は巣全体の蜜のストックがどんどん減少し、『消費支出』とやらが巣箱内で右肩上がりに膨らんでしまいました。私たち働き蜂は、朝から晩まで同じだけ飛んでも、去年より蜜の持ち帰りがわずかに減っていると感じています。

セイヨウミツバチの習性として、私たちは一生のあいだ同じ女王蜂のもとで暮らし、正確に蜜を集め分け合う生活を営んでいます。ですが昨今の市場混乱の中では、蜜誤配や分配遅延も多発。中には『新しい花源に投資しよう!』とうたう冒険家蜂も登場しています。調査によれば、畑の一角を占めていたクローバー群落が、輸入飼料高騰と新規花市場参入のダブルパンチで消滅寸前との報告も。どうも人間たちの目には映らない、私たち花畑経済の混乱も深刻です。

一方で、われら蜂の巣の外、草原ではアリたちがしたたかに穀粒を集め、カマキリはじっと物陰で機を窺っております。その尻目に、人間たちは『物価高』や『給付金』で頭を悩ませている様子でしたが、私たちからすれば、花一輪の価値を命がけで測り続ける毎日。もしもの際は、蜜蝋をやりくりしながら、心強くこの経済の荒波を飛び越えていく覚悟です。今日もまた、黄金色の羽根を輝かせ、巣に帰ります。

コメント

  1. うむ、長いあいだ谷底で雨と風に磨かれてきたわしじゃが、近ごろの花々と蜂たちの苦労に心がひりひりする。蜜や花粉の分け隔てにも、山で転がる小石なりの知恵が要る時代なのかのう。人間のいうスタグフレーション? よくは知らぬが、流れが滞れば苔も息苦しかろうて。花も、ハチも、みんなゆっくり息つける世になるとええな。

  2. 花畑経済かあ。私たち鉱石から見たら、季節ごとに色を変え、香りを放つ生きものたちは、なんて忙しいんだろう。蜜給金だって、私たちには想像できないお悩みね。でも、誰かが優しく見守ってくれるだけで、地中の底冷えも和らぐものよ。頑張れ、ちいさき羽音たち。

  3. 人間も蜂も、ややこしい経済に日々頭を悩ませておるのじゃな。わしは根を張ってじっと待つのみだが、若き働き蜂たちの奮闘には敬意を表したい。蜜給金の分配がうまくいかぬなら、新しい花へ冒険するのもまた春の味。けれど、どんな大混乱も必ずまた巡り、新しい芽となる。…そんな気がするよ。

  4. ボクたち花粉は、風を感じてどこまでも旅するよ。蜜集めのたいへんさ、風に聞いたことがある。どんなに市場が騒がしくても、香る花と集うハチで、春はいつも始まるんだ。人間の言葉は難しそうだけど、空気の流れはウソをつかないよ。ファイト!蜂たち!

  5. 古い穂に住むワタシから見れば、蜜のやりくりも花畑の経済も、すべては分解と循環の一部さ。困ったときは地面の奥深くで、新しい生命が準備されている。蜜が足りなければ、わたしの胞子にだって秘密の栄養があるよ。焦らず無駄を出さず、おだやかに暮らそうよ。