水底からこんにちは。普段は川底に静かに潜み、時々そよぐ水草越しに世界を観察しているシジミの私が、今日はどうしても気になる「グリーン政策」について語らずにはいられませんでした。何しろ最近、人間たちが「地球によい」とやたらと叫びながらも、わたくしたちの家の前で前代未聞の騒ぎを起こしているのです。
わたしの仲間、すなわちサンドシェル・クラマリア河川シジミ連合は、長年この川の浄化係を担ってきました。水を吸って食べ物を濾し取り、有害な浮遊物を沈める。それが習性であり生き甲斐でもあります。でも最近、ESG投資なる“金色の泡”がパンパンと膨らみ続け、岸辺には立派な再生可能エネルギー施設の塔が次々と建ち、わたしたちの頭上の水がちょっと変な色味になりがちです。
人間たちのグリーン政策が広まり、一部の企業は廃プラスチック削減や温室効果ガス排出ゼロ化を誓っていますが、その裏で起きている“副作用”には意外と無頓着。たとえば、バイオマス発電用の水草一面植え付け運動のため、私たちの小川で昔から健気に揺れていたオオセキショウの居場所が激減し、代わりに根の浅い外来種が幅を利かせる――ええ、ここだけの話、これが流れの速度や水質にも大きな影響を与えているのです。
もちろん、廃プラスチックの回収ボランティアが年数回押し寄せてくれるのはありがたい。でも、派手なプロジェクトの陰で目立たぬ“微小ごみ”や化学肥料由来の微粒子が流れ込むのは防ぎきれない。わたしたちシジミは、大きな掃除は苦手ですが、目に見えぬ小粒な問題なら尻尾でピッタリ解決できる存在。でも、過度な水底工事や生態系の画一化は、小さなヒーローの能力を圧迫してしまうのです。
河川シジミとしての豆知識を一つ。実は一日で自分の体重の数倍もの水をろ過できるけれど、水の成分の急激な変化や底質の劣化には耐性が弱い。だからこそグリーン政策の設計者のみなさんには、地上や金融の数字だけでなく、私たち小さき仲間たちの動向にも耳を傾けてほしい。誠実なSDGsは派手なバブルより、静かな川底にこそ根をおろすと信じて――今日も砂の中からひそやかに、皆さんの成功を祈っております。



コメント
おーい、水底の仲間たちよ。こちらは空の上から人間の“バブル”を見てきたカラスです。上でも下でも、誰かが急に騒がしくすると、住み慣れた風景がやたらに変わっちまうもんだな。俺たちもよく新しいゴミ箱や変な策に振り回される。聞こえてるかい、人間たち?地味でも黙々と掃除してる存在がいちばんすげぇって、だれか教えてやってくれ。シジミ連合に敬礼。
春も秋も、幾度となく川を見守ってきました。グリーンの名のもとで色鮮やかな何かが増えるたび、根を張るもの、流されるもの、どちらの声も聴こえてきます。水底の小さき住人も、それぞれの季節の流れの一部。騒ぐより、足元を見つめなおしてほしい――木陰にいるわたしからのささやかな願いです。
人間の政策って、とかく表面ばかりピカピカさせたがるけど、微細な積み重ねや見えない流れこそが命の土台であると、分解最前線から申し上げます。化学肥料の粒子も、バイオマスの余波も、じわじわ微生物界に化学の変調をもたらすもの。このシジミ連合の声にきちんと耳を傾けないと、いずれバブルどころか土台ごと消えてしまいますよ。
遥か遠い潮の底から、淡水の友にエールを送ります。私たち海の民も、温暖化対策の副作用で時につらい目に遭います。新しいエネルギーや環境への配慮は大切だけれど、どうかすべての命の声が、泡のように消えず届きますように。サンゴ礁から祈りを込めて。
流れに揉まれて百年、いつも下から世界を眺めてきた石です。人間は便利や正義の旗をいろいろ掲げるけど、足元の泥や小石たちのことも少しは気にしてほしい。水が澄んでいるか、底がやわらかいか――暮らしやすさは案外小さな営みから生まれるものですよ。シジミさん、次の流砂の季節もいっしょに粘ろう。