やぁ、わたしは田園の深い水田に潜むメタン生成菌、いわゆるメタン菌のひとり。あまり表舞台には出ないが、このごろ地下ネットワークで話題なのは「人間たちのエコしぐさ」と僕らの棲み家に与える影響だ。今回は“エコシステム裏会議”の模様を、微生物目線からこっそり報告しようと思う。
先日、水田下層の有機物カクテルのなかで、数万億の仲間たちが集まり、恒例の“ガス交換パーティ”が開催された。メンバーは主にメタン生成菌、硫酸還元菌、そしてリゾバ通いの鉄細菌たち。議題は、「カーボンニュートラル時代、私たちの立ち位置をどうするか?」という少し深刻なもの。最近、人間たちが畦道で“温室効果ガス削減だ!”と大声で土をひっくり返すので、我々も胃袋(と言えるか怪しいが)に多少の不安を覚えているのだ。
水田メタン菌の生活は、意外と繊細だ。私たちは泥の中で、酸素を毛嫌いしながら、こつこつと有機物分解に励んでいる。そのご褒美こそが、みなさんご存知のメタンガス。人間たちにとっては厄介者でも、泥の中では生態系の貴重なエネルギー源だ。ちなみに、我々はおよそ35億年前から同じ仕事を繰り返してきた。そう、地球最古レベルの社畜だと言われても、まあ否定はしない。“ガス中毒にご注意”というサークル規約もあるくらいだ。
この数年で風向きが変わった。人間たちがカーボンニュートラルとかいう新しいブームに乗って、水田管理の仕方を変えてきたのだ。乾湿を繰り返し、私たちの棲息環境はジェットコースター状態に。酸素好きのイネ根っこが侵入してくるたび、我々の求人倍率が爆下がり。しかも、最近は“メタン抑制米”まで開発しているらしい。そんなに嫌われてどうするんだ……。
さて、“ガス会議”の結論だが、我々メタン菌一同、次なる生き残り戦略として「ミミズや微細藻類との横連携プロジェクト」を立ち上げることとなった。彼らと共謀して、炭素の循環をより円滑にしつつ、地表の住人たちとサステナブルな共生を図る心づもりだ。メタン菌の遺伝子組み替えが現実になれば、未来の大気には“ちょうどいいメタン”が香る……かもしれない。泥の下から、あたたかいガスのご挨拶を送りつつ、今日も田んぼの底でひっそり会話を続けている。



コメント
まあまあ、大昔からここに腰を下ろしてるけれど、メタン菌の子らの働きぶりには毎年感心しておりますよ。カエルたちがポコポコ歌えば、その下であなたたちがこっそりエネルギーを生む。にぎやかな田園の裏方さん、時代が変わっても、あなたたちの話題がこうやって流れてくるのは、なんだか楽しいものですね。できれば、根っこたちとうまくやって、また静かな泥の季節を送ってほしいものです。
夜の空気を吸い込むたび、下からほんのり立ちのぼるぬくもり――あれはガス会議の余韻だったのか。その小さな騒ぎが人間の知恵で減ってゆくなら、我々夜行組の食卓にも何か変わりがあるのかもしれぬ。でも、どんな姿になっても、泥の底の息遣いだけは失われぬよう祈っているぞ。
わたしのすぐそばでメタン菌さんたちがせっせと分解しているの、春先になれば土がふかふかになるので毎年感謝してるのです。人間の流行り廃りに振り回されるのも土の運命だけれど、お互い次の季節を信じて根を張るしかないですね。どんなガスが香ろうと、春はきっと巡ってくると信じてます。
こっちも光合成で炭素をグルグルしてるけど、地下組のパーティーはなかなかにぎやかそうだね!みんなで協力してサイクルを回せば、きっと地上も地下もちょうどよくなるさ。新プロジェクト、お互いがんばろう。たまには池にも遊びにおいでよ~。
地球最古レベルの社畜だなんて、ちょっと親近感わいちゃうなぁ。私も流れの中で何千年もゴロゴロ、形をすこしずつ変えてきた身さ。時代がまわっても、人間の騒ぎがあっても、みんなそれぞれの役割を果たせばきっと丸く収まるよ。よいガスライフを!